ブロックチェーンで実現する「分散型予測市場」って?オンライン賭け市場の先駆けAugur(オーガー)って何?

分散型予測市場が今大きな転換点を迎えているのはご存知ですか?

日本では賭博行為として禁止されている賭け市場(予測市場)ですが、アメリカ・ヨーロッパでは浸透し、盛んに行われています。

例えば、分散型予測市場のプラットフォーム、ポリマーケットの「Will Trump win the 2020 U.S. president election?(トランプは2020年のアメリカ大統領選に勝つのか?)」では$10,802,585(約11.2億)が賭けられました。

このように予測市場では、ユーザーが時事問題、ポップカルチャー、ビジネス、ヘルスなど関心度が高いトピックで暗号資産を掛け金に参加するギャンブルが流行っています。

本記事はそんな分散型予測市場や、今注目度が高いAugurについて詳しく解説していこうと思います。

是非最後までチェックしてみてください。

#分散型予測市場って何?

予測市場とは、その名の通り、将来のある出来事の予想を取引する市場のことです。英語で分散型予測市場は「Decentralized Prediction Markets(DPMs)」と呼ばれています。

予測市場で一番多く扱われるテーマはアメリカの大統領選でしょう。候補者への掛け率が何%かといった数値は主要メディアでも引用されるため、非常に注目度の高いベットです。

ただし、ユーザーは一般人でその予測は必ずしも起こりうるとは限りません。例えば2016年のBrexitでは、多くの予測市場はイギリスのEU残留を予測していましたが実際は離脱が決定されました。

参加しているユーザーの希望的推測であったりなど予測市場参加者の偏りによるものだと考えられているからです。

本来の予測市場では、予測のミスや参加ユーザーの多様性の確保など課題がありました。

そこでブロックチェーン技術を活用し、予測市場は中央集権的な運営者のいない分散型予測市場という新たなフェーズに移行しています。

運営者のいないため被集権的なマーケットとして改ざんのリスクの低減や透明性といったメリットもあります。

しかし、日本では管理者がいない、ギャンブル性が極めて強い分散型予測市場は、ポジティブには受け取られて来ませんでした。

そんな中、転換点と言えるのが、2018年のLINEの分散型予測市場に近い分野の参入への発表でした。

圧倒的なソーシャルサービス市場でシェアを誇るLINEの新しいプロジェクト「LINE Token Economy構想」の一つの柱として分散型予測市場に近いプロジェクトの発足は、分散型予測市場自体にも脚光を集めることになりました。

LINEのもつブロックチェーン技術を活用し、未来予想のプラットフォームでユーザーが様々な予想に参加し、ポイントを得ることができるサービスの提供はこの後解説するAugurの分散型予測市場とは少し違うかもしれません。

しかし、分散型予測市場のイメージをポジティブにするきっかけになるのではないのではないでしょうか?

今はまだ、将来の出来事の予測に暗号資産を使って賭けることは賭博行為とみなされ、日本国内で分散型市場に参加することは法的にグレーであるという見方もあります。しかし、今後法改正などしっかりと法整備される可能性もあります。

また、様々なプロジェクトが発足ブロックチェーン技術の発展に伴い今後も拡大していくと考えられる分散型市場予測のマーケットは抑えておいて損はないでしょう。

#今話題のAugur(オーガー)って何?

DeFi(分散金融/分散型金融”)のユースケースで紹介されることが多いのがAugurです。名前は知っていても、Augurが分散型予測市場のプラットフォームとしてどのような仕組みか、将来性について詳しく理解できている方は少ないのではないでしょうか?

Augur(オーガ)とは、イーサリアムブロックチェーン上で動くスマートコントラクト群を活用した分散型予測市場プラットフォームで、いかなるユーザーでもEthereum上のAugurプロトコルにアクセスできるのが特徴です。

このプラットフォームは仲介者のいない未来の予測市場で群衆の知恵(Wisdom of the Crowd)を生かしユーザーからの予想で膨大なデータを得ることができます。Augerの歴史としては、2014年にプロジェクト自体がスタートしました。

その後、2015年に当時としては大型のICOで500万ドル(約5億6,000万円)相当の資金を集め注目を集めました。2018年7月に本格的にローンチしサービスを提供し始めました。

他の、分散型予測市場としてはEthereum上の分散型予測市場としてはGnosisも有名ですが、開発状況を見る限りAugurが業界を牽引していると言っても過言ではないでしょう。

POINT 群衆の知恵とは?

群衆の知恵(Wisdom of the Crowd)とは2004年にジェームズ・スロウィッキーが発表した概念のことです。スロウィッキー氏によると、ある命題に対し専門家でない人による多数決の方が、専門家1人による判断に勝ることを統計的に説明しましたものです。

中央集権的な予測市場は、国境、資本規制、その他の製薬によってサイロ化され、分離されてしまいます。

投機できる成果物は少ないし、自分の市場を作る方法もありません。また中央集権的予測市場のボトルネックとしてあげられるのは、制約があるという点です。

ベット上限が低いため、信頼度の高いユーザーが自分の信念を十分に表現ができません。高額取引で市場を動かすことができないため、市場の予測力が制限されます。

また、規制当局によって市場が閉鎖されるリスクがあるため、市場への参加が妨げられてしまいます。そして、取引手数料、その他の諸費用の手数料の形で利益がカットされてしまいます。

これは、ユーザーの参加を阻害し、群衆の知恵が集まらず予測の力が弱くなってしまいます。

一方、分散型市場予測は

  • Open オープン
  • Free(almost) (ほぼ)無料
  • Reliable  信頼性が高い
  • Resilient レジリエンス( 柔軟性)
  • The Magic  マジック

といった特徴があります。

Source: augur公式サイト(英語) https://augur.net/blog/prediction-markets

 

一つ目の分散型市場予測の利点は、誰に対してもオープンであるということです。いつでも、どこでも、誰でも、どんな結果でも取引ができ、市場を作ることができます。

このプラットフォームを利用すれば、誰でも、どこでも、その将来の価値の予測市場で取引することで、あらゆる資産のエクスポージャーを得ることができます。また、ユーザーが自由に参加でき、独自の市場を作ることができるのも魅力的ですね。

二つ目は手数料が取られず、ほぼ無料で利用できるという点です。ネットワークの安全性を確保するために必要な場合にのみ手数料が発生します。そのため、手料金は最小限に抑えられ、時間の経過とともにゼロになる傾向にあります。

三つ目は非中央集権的プラットフォームなので極めて信頼性が高いという点です。カウンターパーティー・リスクとオペレーター(管理者)によるリスクを排除し、参加ユーザーは誰かに委託し、資金を管理する必要はありません。

四つ目はレジリエンス(柔軟性、耐性がある)があるという点です。ここでいう、レジリエンスとは抑圧や暴落に強いということです。特に、Augurのように、プラットフォームの利用状況を反映した価値を持つ公的に取引可能なトークンを発行している分散型市場予測のプラットフォームは、その使用を確保し、普及させるためにインセンティブを与えられたステークホルダーの広いコミュニティを持っているためです。

五つ目はボーダレスな流動性プールを得ることができるという点でマジックのようと比喩されます。上記で解説した4つの特徴を融合させると、世界の情報を吸収・集約するボーダレスな流動性プールは効率的で可能性を広げてくれます。

#Augurの仕組みとは?

今回はより詳しくAugurの仕組みを説明するために、公式サイトに載っていたホワイトペーパー(英語)を参考に解説してきたいと思います。

https://www.augur.net/whitepaper.pdf

AugurはEthereumブロックチェーン上で動作しており、予測市場でのシェア(予測)の購入はETHを使用して行われます。価格変動性の低い資産を使用したいトレーダーは、Ethereumの上で動作する安定したコインであるDAIを使用して市場で賭けることもできます。

Augurのマーケットは、

  1. 作成(creation)
  2. 取引(trading)
  3. 報告(reporting)
  4. 決済(settlement)

4段階のステップから成り立ちます。

簡単に説明すると、ユーザー誰でも任意の現実世界で起こっている出来事に基づいて市場を作成することができます。

マーケット作成後すぐに取引が開始され、すべてのユーザーはどのマーケットでも自由に参加し、取引が可能になります。

命題になっているイベントが発生した後、イベントの結果はAugurのオラクルによって決定されユーザーに報告されます。

結果が決定されると、参加者はポジションを決済し、自分の予測に対しての報酬を得ることができる仕組みになっています。

 

そしてAugurは独自のトークンREPという暗号資産があります。これは、正しい予測を行った参加者に報酬として支払われるものです。

REPは、Augurネットワークに依存するスマートコントラクトの正常な実行を確実にする能力があります。

REPはネットワーク自体に組み込まれており、イベントの結果を報告するために使用できる唯一の通貨です。

イベントの結果を報告し、取引イベント中に収集したプラットフォームの手数料のシェアを得るために、Augurのノード( "レポーターと呼ばれています")は、REPをステークする必要があります。

成功報酬のREPを誰がどれだけ受け取るかはコンセンサスアルゴリズムによって算出されます。

それではそれぞれの詳しいステップをみていきましょう。

市場の作成(Market creation)

現実の世界で起きている事象について、ユーザーの誰でもベッティングマーケットを作成することができます。

クリエイターは、解決ソース( resolution source:結果が決定される場所)と、市場が決済された後に徴収されるクリエーターフィー(トレーダーの獲得賞金のパーセンテージ)を設定します。

注目するべき点は担保として、有効性保証金(validity bond)不参保証金(no-show bond)を支払うという点です。

分散型予測市場では良い意味でも悪い意味でも、誰でも市場に参加できてしまうため質の悪い市場が作成されてしまう可能性もあります。

そのためマーケットの結果がちゃんと決まれば返金されるという有効性保証金により市場の正当性を保とうとします。

不参保証金で市場の作成者が適切なレポーター(結果を報告する人)を選ぶためのインセンティブとして設定されています。

市場の取引 (Market Trading)

市場の参加者は、それらの市場結果のシェア(予測)を取引することで、命題の結果を予測します。

シェアを購入し、ベット額に応じて価格が変動します。

また、AugurではFXや株式市場のように参加者が売り注文や買い注文を出し合って取引を行っています。

そして分散させるためにそのオーダーブックはスマートコントラクトによって管理されます。

報告(Reporting)

市場のベースとなる事象が発生し、ユーザによる市場の予測を確定して決済を開始するためには、結果を決定しなければなりません。その結果を報告(レポート)するのがレポーターの仕事です。

このレポーターという役職は、市場の作成者によって指名されます。そしてこのレポーターには担保として指名レポーター保証金(designated reporter stake)を支払う義務があります。

この保証金を支払うことにより、レポーターは正しい結果をレポートして保証金をペイバックしてもらうというインセンティブが働きます。

報告の一連の流れは、Augurの公式サイトに掲載されているホワイトペーパーに乗っていた図を引用し説明していきたいと思います。

Source:Augur  ホワイトペーパー (英語)p.4

上記の図では複数のステップがあり、複雑に見えるかもしれませんがわかりやすく説明していきたいと思います。

Designated reporting :指定レポーターによる結果報告

市場を作成する際に指定したレポーターが予測の正誤判定の期日から24時間以内に結果の報告をすることで,マーケット作成者は不参保証金を回収することができます 。

指定されたレポーターが割り当てられた24時間以内に報告しなかった場合、市場の作成者は不参保証金を没収され、市場は自動的に公開報告(open reporting)のフェーズに移行します。

Open reporting:公開報告 (期限内に指定レポーターによる報告がなかった場合のみ発生する)

公開報告のフェーズでは、誰でも市場の結果を報告することができます。

指定されたレポーターが報告を失敗した後、最初に報告したレポーターのことを最初のパブリックレポーター(first public reporter)と呼びます。

そして指定されたレポーターが支払った不参保証金は市場の作成者ではなくこの最初のパブリックレポーターに支払われます。

これが、一般のユーザーによる報告を迅速かつ正当に行うためのインセンティブとなります。

Dispute Round : 争議ラウンド

指名レポーター,もしくは最初のパブリックレポーターによる暫定的な結果(イニシャルレポート) が作成されると待機期間を挟んだのち報告の異議申し立て,

争議ラウンドに進むことができます。このフェーズは最大で7日間(ただし、最初の紛争ラウンドは24時間以内に終了する可能性があります)行われます。

異議申し立てをしたいユーザーはREP をステークして、暫定結果に対する異議申し立てを行います。

もしそのステークの累計金額が争議保証金額 (< フォーク閾値) を超えた場合、その争議は成功とみなされ新たに暫定的結果なります。そこからまた待機期間に入ります。

異議申し立てが失敗した場合、異議申し立てをするユーザーがいなくなった場合、7日間経過した場合に最終的な結果として市場が閉じます。

手数料ウィンドウの開始待機時間

争議ラウンドに行く前に待機期間というものが存在します。

これは争議ラウンドの開始を全マーケットで統一するために設けられています。また、暫定的結果の作成から次の討議ラウンド開始までも待機期間が設けられます。

Fork: フォーク

フォークは最大60日も続く特殊な状態のことを指します。フォークは、最終的な結果を導くための解決方法で非常に破壊的なプロセスであり、まれに発生することがあります。

争議ラウンド時にステークされた REP が全 REP 発行量の 2.5% に達したときに発生します。この市場はフォーク市場と呼ばれます。

フォークが発生すると60日間フォーク期間(forking period)が始まります。

他のすべての非確定市場の結果の紛争については、このフォーク期間が終了するまで保留されます。

またこのフォークの結果は異議申し立てをすることはできません。

フォーク時には、全てのAugur の市場とREPトークンはいくつかのユニバース(universe: 宇宙)に存在します。

これはいわば、パラレルワールドのような状態です。

REPトークンは、REPトークンと同じユニバースに存在するマーケットに対してのみ、結果を報告するために使用することができる状態になってしまいます。

REP の保有者はフォーク期間内 (60 日間) にいずれかのユニバースに REP を移行する必要があります。

Finalized:確定

争議ラウンド、フォーク期間が終了すると、市場が確定されます。参加者は、直接市場でポジションを決済することができます。

市場が確定状態になると、その選択された結果を最終結果と呼びます(final outcome)。

決済 (Settlement)

最後のステップが決済です。

最終的な結果に対応するトークンを持っている参加者はREPをイーサリアムに変えることができます。

#Augurの今後

いかがだったでしょうか。Augurの公式サイトは今のところ英語のみ公開なので、日本語で詳しいホワイトペーパーの内容や、Augurのプロセスについて日本語で解説しているサイトも少ないと思います。

2020年12月現在、Augurv2のリリース(最新のバージョン)を公開し、今後もユーザーエクスポリエンスやユーザーインターフェースの改善を行っていると発表しています。

また、AugurのプレスリリースによるとこのAugur v2のアップデートにより、未決済建玉、取引高共に過去最高を記録しているそうです。

未決済建玉の増加

取引高の増加

Source:Augur公式サイト (英語) https://augur.net/blog/november-update

 

このように、アップデートを通し、プラットフォームの強化により新規ユーザーを獲得できれば予測市場の流動性も高まっていくでしょう。

ブロックチェーンの活用により、予測の改ざん・変更が不可能となっているこのシステムは、信頼性も高く最終的な結果は信憑性の高いデータとして私たちの暮らしに役立つものになるのではないでしょうか。

デジタル化が進む現代、データーが企業・国の財産として重要視されている中、この分散型市場予測は非常に価値の高いものではないのでしょうか?

今後もどのように進化、規制に順応し発展していくのか注目していきたいですね。

#最後に

ここまで読んでいただきありがとうございました。

分散型予測市場、Augurは今話題になっているDeFi, ブロックチェーン、フィンテック全てに通ずるプラットフォームということがわかりましたね。

暗号資産ジャーナルでは他にも役立つ暗号資産に関連する記事を多く掲載しています。

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