デジタル中銀通貨とは何? 中央銀行発行デジタル通貨のこと?

中央銀行発行デジタル通貨とは、具体的にどのような意味でしょうか。 中央銀行が発行するデジタル通貨のことでしょうか?

中央銀行発行デジタル通貨 をローマ字で表すと、Central Bank Digital Currencyとなります。ローマ字を略し頭文字の【CBDC】と呼ぶこともあります。

これから、中央銀行発行デジタル通貨について詳しくご説明します。

※日本の中央銀行は、日本銀行になります。

中央銀行発行デジタル通貨の意味とは?

中央銀行発行デジタル通貨とは、下記の3つの要件を持っている通貨のことになります。それでは具体的にみていきましょう。

・デジタル化された通貨のこと
・円やドル、ユーロなどの法定通貨建てであること
・中央銀行の債務として発行されること

デジタル化された中央銀行の通貨

法定通貨は、 1年365日、1日24時間いつでも使える紙幣であったり、硬貨であったり物理的な通貨です。デジタル中銀通貨は、その名の通り目の見えないデジタルの通貨です。

ただし、今現在では、もちろん日本では、中央銀行が管理するデジタル化された通貨は発行されておりません。

しかし、2020年になって日銀は欧州の中央銀行6つと 国際決済銀行(BIS) と共同で、デジタル通貨発行を視野に入れて共同研究をおこなうと発表しています。

今すぐにデジタル中銀通貨 【CBDC】 の発行実現はありませんが、共同研究が進み数年もしくは数十年後には、デジタル中銀通貨 【CBDC】 が世間に流通する時代がくるかもしれません。

日本銀行 雨宮副総裁のデジタル通貨展望

2020年2月27日  日本銀行副総裁 雨宮 正佳  日本銀行

中銀デジタル通貨と決済システムの将来像

――「決済の未来フォーラム」における挨拶―― (はじめに) 本日は、決済の未来フォーラムにご参加頂き、誠にありがとうございます。

昨年来話題となっているステーブルコイン構想など民間による新たな取り組 みは、より便利で迅速、そして効率的な決済に対する顧客ニーズの存在を示唆し ています。

そうしたニーズに応えるには、民間部門とともに、中央銀行も自らが 提供する決済インフラを不断に改善していく必要があります。

この点に関して、 中央銀行がデジタル通貨(Central bank digital currency, CBDC)を発行すべきかど うかが一つの重要な検討課題となっています。

デジタル社会において中央銀行マネーをどのような形で提供していくべきか、 そして、民間部門の決済サービスをどう改善していくべきかは、どちらも、わが 国の決済インフラの将来像を考えていくうえで極めて重要なテーマです。

また、 この両者は密接に関連する課題であって、双方を分けて考えることは適当では ありません。今回、多くの識者の方々にフォーラムにご参加頂いていますので、 有意義な意見交換になることを期待しています。

さて、これらの問題を検討する際には、情報技術革新の進展や決済事業者の 様々な取り組みが、決済システムやマネーの仕組みにどのような影響を及ぼし ていくかが、重要なポイントとなります。

そこで、私からは、議論の出発点とし て、「ある程度予測可能な将来において」という条件のもとで、「変わらないで あろうこと」と「変わるであろうこと」の双方を整理しておくことから、お話を 始めてみたいと思います。

(変わらないこと) まず、決済システムやマネーについて、将来も変わらないであろうこと、ある いは、変えるべきでないことを3つ挙げたいと思います。 一つ目は、マネーの基本的な仕組みです。

マネーの発行形態には、トークン型 と口座型があります。

このうち、トークン型マネーは、「何らかの媒体に金銭的 価値が組み込まれたもの」であり、銀行券や、交通系カードなどの電子マネーが これに当てはまります。

これらは、紙と電子媒体という違いはあっても、媒体に 組み込まれた金銭的価値の移転によって決済を行うという基本的な仕組みは共 2 通です。

一方、口座型マネーについては、利用者からの振替依頼に基づき、発行 者が口座の減額記帳および増額記帳をすることにより、価値が移転します。銀行 預金がその代表例です。

銀行に預金の移転を指示する手段は、窓口やインター ネットでの振込依頼から、クレジットカードやデビットカードまで様々な種類 がありますが、その本質は変わりません。

また、近年におけるキャッシュレス決 済の牽引役である、○○ペイといったノンバンク決済事業者も口座型マネーを 発行しており、利用者はスマートフォンを通して口座の振替を指図します。

将来 の決済サービスも、基本的にはこの二種類のどちらかの仕組みを軸に発展して いくと思われます。

将来も変わらないであろうことの二つ目は、通貨供給の二層構造です。これは 変えるべきでない、維持すべきものというべきかもしれません。

二層構造とは、 中央銀行が現金と中央銀行預金からなる中銀マネーを一元的に供給し、民間銀 行はこの中銀マネーを核とする信用創造を通じて、預金通貨を供給する仕組み です。

二層構造のもとでは、経済への資金配分は民間イニシアチブを通じて効率 的に行われ、また、決済サービスにおいて民間イノベーションの力が十分発揮さ れるというメリットがあります。

フィンテック企業などノンバンク決済事業者 の発行するマネーは、トークン型であれ口座型であれ、現金や銀行預金との等価 交換により創出されます。

マネーの発行者が多数存在することで、新しい効率的 な決済手段の提供、さらには金融サービスの提供全般における競争のメリット が維持されると考えられます。

三つ目は、中央銀行の基本的な役割です。キャッシュレス化が進展し、現金の 流通高が大幅に減少したとしても、中央銀行は、今申し述べた通貨供給の二層構 造のもとで、中銀当座預金というデジタルマネーのコントロールを通じて金融 政策を遂行するとともに、「最後の貸し手」機能を果たしていくことになるで しょう。

もちろん、金融政策の効果波及ルートがより複雑化したり、マネーの把 握がより難しくなるといった課題はあり得ますが、それはこれまでも起きてき たことです。

通貨価値の安定と信用秩序の維持という中央銀行の責務およびそ の遂行能力は、情報技術革新の進展に伴い決済サービスやマネーを巡る環境が 変わっても、基本的には維持されると考えられます。

(変わること) これらに対して、情報技術革新に伴い、決済システムはどのように変化してい くでしょうか。

ここでは、後ほどの議論にも関係して、3点挙げておきたいと思 います。 第一に、リテール決済のキャッシュレス化は着実に進展していくだろうとい うことです。

実は、スウェーデンのような特殊な事例を除き、主要先進国では、 現金の流通高は今でも増加しています。

日本でも、昨年 10 月のキャッシュレス・ ポイント還元事業の開始以降、キャッシュレス手段を使う消費者が増えている ようですが、現金はまだ前年比で2%ほど伸びています。現金志向は意外と根強 いものがあります。

しかし、長い目で見れば、新たなサービスの導入やその利便 性に対する認知度の高まりとともに、キャッシュレス化の流れは止まらないで しょう。 第二に、決済を担う事業者の多様化です。

近年のキャッシュレス決済を牽引し ているのは、銀行よりも、ビッグテックやフィンテック企業、交通系・流通系企 業などのノンバンク決済事業者であるように窺われます。

例えば、○○ペイと いった資金移動業者や、交通系・流通系企業などの前払式支払手段発行業者が、 伝統的なマネーである現金や銀行預金とは異なるデジタルマネーを発行してお り、その利用が拡がってきています。

こうした決済事業者の多様化は、金融規制 のあり方や、中央銀行・民間双方の決済インフラの運営に、様々な影響を与える ことになるでしょう。 第三の変化は、「マネーとデータの接近」という現象です。

ノンバンク決済事 業者の多くは、便利なキャッシュレス決済サービスを提供することで、既存の顧 客の利便性を高めるだけでなく、多様な関連ビジネスに顧客を誘導することに より、ネットワーク効果を通して自社のエコシステムの拡張を図っていこうと いう戦略をとっています。

このような戦略は、Data-Network-Activity を略して、 DNA と呼ばれます。かつては、買い物の支払いをする、つまりマネーを使うこ との意味は一定の経済価値を授受することでした。

それが今では、だれが、いつ、 どこで、何を買ったか、場合によっては、ウェブサイト上の商品宣伝を閲覧する だけで何を買わなかったか、といった関連データも授受するようになっています。

それだけに、決済システムやマネーの将来を考える際には、個人情報の保護 やその有効活用をどう考えるかという論点が、一層重要になってきます。

(海外における CBDC の検討事例) それでは、以上のように決済システムやマネーを巡る環境が変化する中で、 CBDC にはどのような機能や役割が求められることになるでしょうか。

海外で CBDC の発行が検討されている事例をみると、これまでのところ、3つほどの類 型があるようです。 第一に、スウェーデンでは、現金流通高の GDP 比が2%を割り込むまで低下 していることが、CBDC の発行を検討する背景になっています。

同国では、キャッ シュレス化が大幅に浸透した結果、現金を受け入れる小売店が減少し、銀行口座 を持たない人々が街での買い物に困難を来すほどになっています。

こうした状 況下で、国民があまねく中銀マネーへアクセスできるようにすることが一つの 狙いとなっています。

第二は、カンボジアやバハマなどの発展途上国です。これらの国では、自国通 貨や決済を巡るインフラが未整備である一方で、スマートフォンの普及率は極 めて高いといった状況にあります。

そうしたもとで、いわば一から決済制度を設 計し直すことが課題であるために、最新のデジタル技術を全面的に採用するこ とが可能となったケースです。 第三は、中国のケースです。

まだ詳細な設計が明らかになっていませんが、こ れまで公表された内容によりますと、中国人民銀行による CBDC は、流通現金 の代替を明確な目的としています。

その際、現金の発行・流通に伴うコストの削 減だけでなく、偽造リスクへの対応、マネーロンダリングやテロ資金供与の防止 といった、不正防止の観点に大きな重点が置かれています。

さて、日本を含む、多くの欧米先進国の状況を見ると、これらのケースと同じ ような形で CBDC 発行の必要性が高まっているわけではありません。多くの国 では、現金残高は毎年プラスの伸びを維持しています。

現時点では、国民の中銀 マネーへのアクセス確保のために、新しい措置を講じなければならない状況で はありません。また、発展途上国とは異なり、既存の通貨・決済システムが安定 的に稼働している以上、一足飛びに新技術に移行するというわけにはいきませ んし、すべきでもありません。

マネーロンダリング防止などの不正対策は非常に 大事な課題ですが、まずは規制や監督面での対応を図るというのが、現在の主要 先進国の方針です。 (CBDC の論点) それでは、そうした事例以外に、CBDC に求められる役割にはどのようなもの があるでしょうか。

この問題を考えるうえでは、まず、通貨の持つ基本的な役割 に立ち返ってみることが有益だと思います。そうすると、CBDC の有用性だけで なく、検討すべき諸課題も浮かび上がってくるからです。

経済主体の経済活動を支えるうえで、誰もが安全、確実に、安価に、そして何 処でも利用できる決済手段の存在は不可欠です。デジタル社会においても、中央 銀行がそうした決済手段の提供という役割を果たすべきという点には、大方の 賛同を得られるでしょう。

CBDC に求められる役割もこの点にあるでしょう。一 つの事例として、本日も参加されている新たな決済サービス事業者の皆さんか らしばしば聞かれるご意見をご紹介します。

先ほども申し述べた通り、新たな事業者による決済サービス市場への参入は、 決済システムを巡る主要な変化点の一つです。この点に関連し、わが国において は、民間マネー間の相互運用性の確保が一つの課題になっています。

例えば、 ○○ペイなどのノンバンク決済事業者がそれぞれ運営する決済プラットフォー ムの加盟店は必ずしも重なっていないので、ある事業者が発行するデジタルマ ネーを保有していても、別のプラットフォームに加盟する店舗では利用できな いことがあります。

また、異なる決済プラットフォーム間では、個人間送金を行 うこともできません。 こうした事例において、CBDC にはどういった役割が期待されるでしょうか。 CBDC があれば、誰とでも個人間送金が自由に行えるほか、民間マネー間の相互 運用性も飛躍的に向上することになります。

CBDC が民間マネー間の橋渡しを することにより、決済の効率性の改善に寄与し得ることを示しています。実際、 最近、こうしたご要望を伺うことが増えています。

もっとも、話はそう簡単ではありません。CBDC については、より広く決済制 度や金融システム全般に与える影響を含めた総合的な検討が必要です。

先の事 例でいえば、CBDC の発行は、民間マネー間の橋渡しに寄与する一方で、銀行振 込など既存の民間決済サービスをクラウドアウトする可能性があります。さら に、もし、CBDC の決済コストが民間に比べて大幅に低ければ、殆どの店舗は民 間マネーによる決済ではなく、CBDC による決済を選好するでしょう。

中央銀行 が民間主体よりも安価な決済サービスを提供できるのは、決済のコアインフラ という公共財を提供する観点から、中央銀行が一定のコスト負担をしているか らです。

そのコアインフラの設計次第では、官の民業圧迫を引き起こし、民間の イノベーションを阻害する可能性も考えられます。 また、企業や個人が銀行預金より CBDC の保有を選好すれば、銀行の資金調 達に影響を及ぼし、貸出などの金融仲介機能にも影響を与えることが考えられ ます。

そうなりますと、先に触れた通貨供給の二層構造そのものを変容させるこ とになるかもしれません。 さらに、これも先程述べたように、デジタル化の進展とともに、マネーとデー タはますます接近していくでしょう。

CBDC の発行とともに、関連する取引情報 が中央銀行に集まってくることをどう考えるかという論点もあります。

これは、 個人情報保護の問題だけでなく、そうした商流情報をうまくビジネスに活用す るにはどのような制度設計が社会として望ましいか、という問題でもあります。

このように、中央銀行としては、CBDC 発行のメリットと課題・リスクについ てより理解を深めるとともに、課題やリスクについては、実効的な対応策を見出 し得るのか、しっかり検討していく必要があります。論点は多岐にわたります。

また、決済システムの将来像について考える際には、中銀マネー、民間マネー それぞれを独立に捉えるのではなく、両者の相互関係を念頭に置いて、決済シス テム全体の機能の向上策を検討することが重要です。

先の事例で言えば、民間部 門は、決済の相互運用性を高めたり、既存の決済インフラの効率性を改善しデジ タルマネー間の交換における摩擦を解消していくことが重要です。

相互運用性 の改善については、決済プラットフォーム間の相互接続やノンバンク決済事業 者が銀行と共通の決済プラットフォームに参加することなどが選択肢として考 7 えられるでしょう。

(おわりに) ただいま私が述べた論点は、リテール決済サービスの一例に過ぎませんし、 ホールセール決済やクロスボーダー決済においても様々な事例や課題が考えら れると思います。

本日のフォーラムでは、この3つのテーマ、つまり、リテール、 ホールセール、クロスボーダーのそれぞれについて、セッションが用意されてい ます。

皆さまから幅広くご意見を頂き、わが国の決済システムの将来像について 一緒に考えていく機会にしたいと願っておりますし、この決済の未来フォーラ ムは今後も継続して開催していく予定です。

また、日本銀行では、決済機構局内 に CBDC に関する研究チームを発足させ、国内の識者や関係諸機関、海外中銀 との意見交換等を通じて、今後も様々な論点について研究を深めていく方針で す。 ご清聴ありがとうございました。 以 上

参照元:https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2020/data/ko200227b.pdf

デジタル中銀まとめ

中央銀行の中央銀行と呼ばれる国際決済銀行(BIS) のアンケート調査によると、 世界の複数国の中央銀行が、数年以内にCBDCを発行する可能性が高いと考えられています。

アンケートでは、「何らかの取り組みをしているか(近く始める、を含む)」80%が「している」と回答しています。 40%の国は、実証実験に移行していると回答しています。

そのため、世界の複数国では数年以内に、デジタル中銀通貨が発行される可能性が高くなってきました。

決済の安全性、利便性が保たれる中銀デジタル通貨が発行される日が楽しみですね。