
さて、今回は暗号資産の基礎知識編のパート2です。
前回の記事で暗号資産(仮想通貨)をざっくりとご理解いただけたかと思います。
しかし、暗号資産(仮想通貨)に関する基礎知識が必要であったため、ビットコインの基礎情報しかお伝えすることができませんでした。
そこで今回は、ビットコインに関する知識を少し掘り下げてみようと思います。
この記事を読めば
「少しならビットコインについて自信を持って語れるぞ!」
と言えるようになるでしょう。
目次
前回のおさらい
前回取り扱った内容をざっとまとめてみます。
暗号資産(仮想通貨)とは
- インターネット上でやり取りされるお金で、種類(ブランド)がたくさんある
- 普段使っている法定通貨(紙幣や硬貨)とは全く別物
- クレジットカードやICカードとも異なる
- 利用方法や開発理由には、種類によって違いがある
ビットコインとは
- 世界初の暗号資産(仮想通貨)で、規模も価値も世界一
- サトシ・ナカモト氏という謎の人物(団体)が発案し、論文を発表した
- ブロックチェーンという技術を利用して非中央集権型のシステムを実現
- サイバー攻撃や故障に強いシステムを利用している
アルトコインとは
- ビットコイン以外の暗号資産(仮想通貨)
- イーサリアム、リップル、ライトコイン、ネム、モナコインなどは国内でも取引できる
- それぞれ特徴があり、使用用途によって使い分けることができる
暗号資産と仮想通貨
- 意味には大きな違いはない
- 「暗号資産」のくくりの中の「仮想通貨」
- 2018年のG20サミットで呼び方が変わった
思い出していただけたでしょうか?
では、ビットコインについて掘り下げていきましょう。
もっとわかる、ビットコイン
前回挙げたビットコインの特徴には、それぞれ理由があります。
質問形式で掘り下げてみましょう。
非中央集権だと何がいいの?
前回挙げたビットコインの特徴の中に
「ブロックチェーンシステムを利用しているので非中央集権的である」
というものがありました。
ブロックチェーンの詳しい解説は後程出てきますが、まずは非中央集権によるメリットについてお話したいと思います。
皆さんご存じの通り、今までは紙幣や硬貨などの法定通貨を中心にお金の取引がなされていました。
お金は信頼がもとに成り立っていますが、その信頼を担保しているのは、その国の中央銀行です。
中央銀行が中心となって皆さんの資産を管理するので、もちろん多くの権利を所有するのも銀行ですよね。
このことから、銀行の中身の情報のほとんどは不透明です。
開発者はここに疑問を感じたそうです。
取引の情報をみんなで共有できれば不正も起きにくい、という考え方です。
そこで注目されたのが、みんなで情報を共有しあって信頼性を高めるシステムです。
共有しあえば、取引の情報を一手に管理されて権利が集中することもありません。
これを「 Peer to Peer (P2P)」ネットワークと呼びます。
そしてこのP2Pを利用してシステムがブロックチェーンシステムなのです。
このシステムは、複数のコンピュータを利用して、信頼性を高めるという方法をとっています。
Peerというのが同僚という意味をもつ単語なので、文字通り同じ立場の人と同じ情報を共有しあう方法です。
また、複数のコンピュータを利用することによって、一つのコンピュータがサイバー攻撃を受けたり何らかの原因で故障したりしてしまっても、他のコンピュータに全く同じデータが保存されているので混乱が起こりにくいというメリットがあります。
ブロックチェーンって何?
ブロックチェーンとは、一言で言い表せば「データベース」のことです。
「分散型台帳」として例えられることもありますが、情報が分散されている大きな鎖状のデータであると想像してください。
もちろん実体はないので目に見えることはありません。
今までのデータベース技術は、縦のつながりか横のつながり、どちらかに依存する形をとっていました。
縦のつながりを重視するシステムを「クライアント・サーバシステム」と呼びます。
これは、従来の中央集権的なシステムです。
これは、信頼性には長けていますが、中央システムが何らかの原因で攻撃を受けたり、故障をしてしまったりした場合に大きなダメージを受けます。
最悪、すべてのデータを失ったり漏洩させてしまったりする事件につながります。
これと反対に横のつながりを重視するシステムを「P2Pシステム」と呼びます。
先ほど出てきましたね。
このP2Pだけでは、ある問題が発生してしまいます。
それは、信頼性がないということです。
あくまでもつながりあっているのがPeer同士だからです。
そこでブロックチェーンは、P2Pをもっと大きなスケールで繋げました。
データのブロックを鎖状につなげて共有しているのです。
みんながみんな、全く同じ情報を共有しあっているのが特徴です。
今回はこの程度にまとめてみましたが、「もっと詳しく知りたい」という方のためにこちらの記事がありますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
なんでビットコインの発行枚数には上限があるの?
ビットコインは、サトシ・ナカモト氏の論文発表時から、発行枚数に上限があります。
その上限とは、2140年までに発行総量が2100万ビットコインに達し、それ以降は新たに発行されることがないということです。
通常のお金の場合は、中央銀行が通貨の流行量を調節して景気が急激に変わることを防いでいます。
ビットコインはこのような中央で管理する組織がいないので、発行し続けて余ってしまった際の価値の暴落を未然に防ぐ対処が必要です。
発行枚数による価値の暴落を防ぐという意味でも、ビットコインはあらかじめ発行枚数が決められているのですね。
ビットコインはどうやって発行するの?
ビットコインに発行上限があることはお分かりいただけたかと思います。
では、どのようにして発行されるのでしょうか?
ビットコインは「マイニング」という作業を通じて発行されます。
マイニングとは「採掘する(mine)」という意味で、金鉱石を地中から掘り出すようなイメージから来ています。
先ほど少し説明しましたが、ブロックチェーンはかなり複雑な計算を必要とするシステムです。
それは「ハッシュ関数」という特殊な計算を含むからです。
マイニングをする人たちは、取引に間違いがないかどうかを確認する作業を行わなければならないのですが、「ハッシュ関数」は簡単に解読されないようにランダムに作られているのです。
なので、かなり地道で道のりの長い作業なのです。
この地道さや手間のかかる作業はまさにコツコツと金鉱石を採掘する姿に似ていますね。
このマイニングの作業を行う人たちのことを「マイナー」と呼びます。
ちなみに、ビットコイン開発当初は、一般的なコンピュータで作業を行うこともできたそうですが、現在ではデータが膨大すぎるため、高性能なコンピュータを利用しなければ解けないそうです。
また、膨大な電力も消費するそうなので、マイナーたちは「ファーム」と呼ばれる作業所でひたすら計算をしています。
電子マネーと何が違うの?
電子マネーもビットコインも、実際に目には見えないデータのお金をやり取りしているので、一見同じに見えますよね。
確かに、通貨をデジタルデータとして記録したものであるという点に関しては一緒なのかもしれません。
ですが、ビットコインと電子マネーは全く違うものなのです。
電子マネーは、法定通貨をデジタル化したものであることが基準です。
ビットコインは、国や中央銀行が保証している信頼とは全く関係のない存在なのです。
それぞれ発行元が違うのです。
また、それに伴い、対応する法律も違います。
電子マネーは、利用できる場所ではお金として扱ってもらえますが、ビットコインを含む暗号資産(仮想通貨)は今のところ使える場所が限られています。
近い将来、暗号資産(仮想通貨)が広く世間に認められる時代が来れば、電子マネーのように手軽に使える時代が来るかもしれませんね。
ビットコインは安全?
現段階では、ビットコインは、実用化というよりも投資によく使われています。
また、法定通貨のように、価値を保証するものが国という単位ではありません。
このことから、今は法定通貨よりも安全とは言えません。
誕生してから時間もあまりたっていないので、確証はありませんし、「買っても絶対に損をしない」とは言い切れないのが事実です。
さらに、インターネット上でビットコインを使った詐欺や、情報漏洩が起きない確証もありません。
過去にも2014年にマウントゴックス事件というハッキングのきっかけに75万BTCと現金28億円が盗まれる事件が発生しました。
盗まれた資産の行方はいまだに不明とされています。
しかし、ビットコインは、現実社会の経済に影響されないような通貨として開発されています。
保証や信頼の制度が国と関係しないことがここで生きてきます。
現に、2013年のキプロス危機をきっかけに、「時刻の政府や金融機関よりも信頼できる」という理由でEU圏を中心にビットコインブームになったからです。
このように、まだ完全に安全とは言い切れませんが、将来的には流通し、普及すれば、一般的に利用される日も遠くはないともいわれています。
ビットコインのメリット
ここまででビットコインの特徴を知っていただけたかと思います。
ここからは、ビットコインを利用するメリットをいくつかご紹介していきます。
手数料の安さ
ビットコインを含む暗号資産(仮想通貨)は、手数料が安いことが特徴的です。
これは、銀行でいう人件費や設備費、維持管理費などの諸経費が掛からないからです。
また、海外への送金もとても安く済ませることができます。
送金の速さ
送金のスピードもビットコインの魅力の一つです。
これは「直接送金」ができるからなのです。
通常、様々な役職の方々を通して審査や調査が行われたりする場合もあるので、お金を送るというのは時間のかかる作業なのです。
しかし、ビットコインを利用すれば、40分程度で世界中どこにでも送金ができてしまいます。
世界中どこでもいつでも?
ビットコインはインターネット回線があれば世界中いつでもどこでも利用できます。
また、海外に訪れる際も便利な使い方があります。
例えば、海外旅行でアメリカを訪れたとしましょう。
その際、現地でお金を使えるようにするために日本円をアメリカドルに両替すると、1ドルあたり3円の手数料を取られてしまいます。
旅行から帰ってきた際もドルを円に戻す際にまた手数料を取られてしまいます。
しかし、ビットコインを支払いに使えば、両替の手数料はかかりません。
決済手数料のみ払えばいいのです。
ビットコインが利用できるお店は年々増えているので、今後さらに世界中で使いやすくなるかもしれませんね。
まとめ
いかがでしたか?
今までよりも少しでもビットコインについて知っていただけたら幸いです。
これを読んでいただければ、いきなりビットコインの話を振られても焦らずに話が盛り上がるかもしれませんね。
現在(2020年12月4日)、ビットコインの価値は過去最高の216万円を超えるかの瀬戸際にいます。
もし記録を更新すれば新たなビットコインの歴史が刻まれ、さらに知名度が上がることでしょう。
まだやってみたことがない方も、これを機会に始めてみてはいかがでしょうか?
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