暗号資産詐欺

新しいプラットフォームができれば、それに応じて新しい詐欺がでてきます。

仮想通貨(暗号資産)も例外ではなく、実在しない仮想通貨を売りつける業者や、「上場したら何倍もの額で売れる」と根拠のないうたい文句を掲げるなど様々な詐欺の手口があります。

その革新的な技術や流動性に目をつけて投資家から資産をだまし取る暗号資産詐欺は常に新しい手口で詐欺被害を増加させています。

そこで今回は、そんな暗号資産の詐欺のよくある手口や、暗号資産詐欺に合わないためにはどうすればいいのか、また、合ってしまったらどうすればいいのかなどをお伝えしていこうと思います。

仮想通貨(暗号資産)詐欺 実際にある手口

国民生活センターが公表した「2018年度のPIO-NETにみる消費者生活相談の概要」によると、マッドゴックス事件などをきっかけに仮想通貨が話題になり始めた2014年以降、仮想通貨(暗号資産)関連のトラブル相談が増加傾向にあります。

その手口の多くにかかわっていたのは「詐欺コイン」です。

まずはその「詐欺コイン」の特徴と、これを使った手口を見ていきましょう。

詐欺コインの特徴

暗号資産取引所から購入できない

たいていの世間で流通している暗号資産は、暗号資産取引所から購入することができます。

しかし、詐欺コインは取引所で売買されることはあまりなく、代理店や個人からの購入を促されます。

「このコインは私たちからしか買えない」といって誘って顧客に買わせることが多くあります。

この場合、購入日や購入通貨、購入数などの正確なデータは詐欺側が管理しており、手元に残らず、投資した資産を持ち逃げされてしまうケースもあります。

最低購入金が高額

詐欺コインや、詐欺コインが購入できるサイトでは、最低購入金額が10万円以上といった高い価格で売られていることがあります。

10万円ほどであれば、顧客が購入して持ち逃げされてもあきらめがつきそうな金額であることも踏まえた巧妙な手口です。

金融庁できちんと登録を行っている取引所の中には、数百円単位といったリーズナブルな価格で取引できる暗号資産を取り揃えているところも多くあるので、この差からも顧客から資金を搾り取ろうとしている様子がうかがえますね。

クレジットカードを使って投資できる

SEC(米国証券取引委員会)は、投資会社が顧客に対してクレジットカードで投資商品を買うことや、投資講座に入金をすることを認めていません。

「クレジットカードでも買える」という文言を見かけたときは注意しましょう。

「価格保証」・「買取保証」をうたっている

「価格保証」や「買取保証」といういかにも顧客を安心・油断させようとしている言葉を使い、「購入したコインが気に入らなければ買取に応じる」と保証を付けてコインを売ろうとする詐欺も実在します。

しかし、その中身は実際の「購入金額の50%を保証する」というように、一部返金を約束するものであることがあります。

原価が0円に近い詐欺コインから50%の返金を行っても、残りの資産は詐欺師の手元に残るようになってしまいます。

一部の買取なので完全に嘘を言っているわけではありませんが、日々大きな価格変動を伴う暗号資産を扱う上で「価格保証」をうたう業者には注意が必要ですね。

セミナーで勧誘される

「暗号資産のセミナー」を装って詐欺コイン納入に勧誘する団体もあります。

これはいわゆる「ネズミ講」や「マルチ商法」と呼ばれる手法で、所属している仕掛人も勧誘することで紹介料を儲けています。

紹介人数や購入者が増えるにつれて紹介料が増えるので、一見価値が上がっているように見せかけることができます。

著名人の名前を使って宣伝している

コインの宣伝で「有名人が保証している」「芸能人の○○さんが買った」など、著名人の名前を出している場合は詐欺コインの可能性があります。

SECも「有名な誰かが『良い投資になる』と公言したから」という理由を投資の判断材料とすることをあまりいい考えではないと指摘しています。

詐欺師側が著名人の名前を勝手に使用していることもあり、著名人自身も自分の名前が使われていることを認識していない場合も多いようです。

目を引くような仕掛けを使っている宣伝には注意が必要ですね。

仮想通貨(暗号資産)詐欺の手口

「パンプ・アンド・ダンプ」(Pump & Dump)

また、「詐欺コイン」とインターネットの特徴を駆使して最も多く発生している詐欺は「パンプ・アンド・ダンプ」であるといっても過言ではありません。

「パンプ・アンド・ダンプ」とは、価値のない詐欺コインの価格を人為的に釣り上げて暴落させる手法のことです。

パンプ(pump)とは膨張させるという意味で、価値のない詐欺コインの価格を、巧みに計画されたマーケティングによって人為的に釣り上げて価値を一気に高騰させる工程です。

「簡単に儲かる」のような虚言や誤解を招きやすい発言を使ってSNSなどで大量に投稿をしたり、連帯保証やごまかしを使って価値のない詐欺コインを魅力のある人気商品として売り出すことが多いようです。

うわさを耳にした投資家たちが、価格が急上昇した詐欺コインを目の当たりにし、詐欺コインを買い始めることによって価格はさらに上昇しているようにみえます。

ここで購入サイトにタイムリミットなどを設けて「早く購入しなければチャンスを逃してしまう」と購入者を焦らせるような仕掛けを使っていることも多くあります。

ここでダンプ(dump)の工程にかかります。

この「パンプ・アンド・ダンプ」計画に参加している仕掛人たちが詐欺コインを一気に売却します。

価値の高騰がピークを迎えているタイミングで売却することにより、購入時よりもはるかに高い価格で売れるので、個々から利益を得る仕組みになっています。

騙されてしまった投資家たちは、詐欺コインの価値がどんどん暴落し、多くの資産を失ってしまいます。

フィッシング詐欺

ICO(Initial Coin Offering)という、事業者側が発行する「トークン」と呼ばれる独自の暗号資産を使用した手口も近年多発しているようです。

ICOとは、そのトークンを販売し、対価として投資家からイーサリアムやビットコインといった流通している暗号資産の払い込みを受ける資金調達の方法です。

詐欺師たちはこのICOの公式HPをハッキングし、個人情報を抜き取ったうえで公式HPに非常に似ている偽サイトを作成し、公式のメールを装って支払いを請求します。

このようにフィッシングという手口を使って資金のだまし取りをする悪質な方法もあります。

このような被害が発生したことにより、公式HPや取引所のセキュリティーの脆弱性が問題視されています。

インターネットが普及してからこのような詐欺を行うことが簡単になり、長年投資を行っている人さえも惑わすような手口が増えています。

引っかかってしまわないように慎重に情報を収集する必要がありますね。

暗号資産(仮想通貨)詐欺被害の事例

暗号資産で今までに実際どのような詐欺で被害が発生したのか、いくつかの事例を見ていきましょう。

Dircoin

Dircoin(ディールコイン)は、アラブなどの中東諸国における原油取引・決済を目的につくられた暗号資産です。

石油王が作った暗号資産として大々的に宣伝し、約100億円もの資産を集めた大規模の暗号資産でした。

しかし、ふたを開けてみると「ブロックチェーンがつるされていない」「HTML形式のデータ」「法定通貨と交換できない」などさまざまな問題が発覚し、運営側と連絡が取れなくなってしまう投資家が続々と出てきました。

現在では公式HPは閉鎖され、運営の行方も分からない状態です。

Recoin

Recoinは、アメリカのRecoinクラブ・ファンデーション社が発行した不動産投資を目的とした暗号資産で、業界初の不動産を担保にしたICOとして注目を集めていました。

「4億円近くの資金調達に成功し、不動産の専門家もかかわっている」という触れ込みでしたが、実際は3000万円ほどしか集めておらず、専門家がかかわっていた事実もなかったため、SECに詐欺及び違法証券発行の罪で立件されました。

Enigmaハッキング

Enigmaは、暗号資産投資家向けのプラットフォームですが、ハッカーにハッキングされる事件が起こりました。

公式HPと「slack」(社内向けコミュニケーションツール)がハッキングされ、本物のメールアドレスからEnigma利用者に向けて送金を促すメールが送信されました。

被害総額は約5500万円に上るとされています。

その後Enigmaの運営チームはアカウントの正常化に成功しましたが、盗まれた資金は帰ってこず、投資家たちは泣き寝入り状態となってしまいました。

Seeleハッキング

こちらも同じく、Seeleという暗号資産の管理システムがハッキングされた事件です。

何者かが管理者を装い、利用者に「架空のICOプロジェクトの集金に先立ちイーサリアムを送金してほしい」という趣旨のメールを送信しました。

偽物のウォレットを使い、約2億円もの資産をだまし取ったとされています。

現在では、Seele運営側はセキュリティを強化すべく様々なシステムを導入した模様ですが、内部犯行の疑いを持つ人も多く、現在進行で注目されています。

仮想通貨(暗号資産)詐欺の対処法

ここまででもわかるように、公式を装ったり、ハッキングを駆使したりする詐欺が後を絶たず、詐欺かどうかはプロでも見分けが難しいようですね。

そこで、過去の詐欺事例を参考にして意識的に回避するするポイントをご紹介していきます。

金融庁に登録している暗号資産取引所を使う

上記にもあげたように、個人や代理店での暗号資産の取引はかなり危険なものです。

しかし、金融庁への登録が住んでいる暗号資産取引所を利用することで様々なリスクを回避することができます。

ICOの将来性や「簡単に資金運用できるコイン」は一見魅力的ですが、すべてが安全とは言い切れません。

金融庁から認可を受けた業者や取引所を利用することで、より安全に取引ができるでしょう。

公式HPの言語を確認する

公式HPの言語を必ず確認しましょう。

あまりゆかりのない言語だったり、逆に日本語だけに略されているサイトにたどり着いたら要注意です。

ゆかりのない言語はトラブルが発生しても対処が難しい場合がありますし、日本語だけに訳されているページは、日本人をターゲットにした詐欺の可能性があります。

掲示板やネットコミュニティをチェックする

特にICOの場合、掲示板やネットコミュニティを検索して、評判や口コミを見ておく必要があります。

掲示板が無ければ、悪評を隠そうとしている詐欺であると断定して差し支えないでしょう。

そしてここで特に注意しなければならないのが、掲示板への書き込みの内容です。

変に高評価が多く、異様にほめたたえられているものや、逆に誹謗中傷ばかりの掲示板の場合、投稿者が操作に加わっている可能性もありますので、信用できるかどうかをしっかり見極めましょう。

Bitcointalkcoin jinjaは代表的な情報検索ができるプラットフォームです。

甘い言葉にだまされない

これはどの詐欺にも共通して言えることですが、「簡単に儲かる」「必ず価値が上がる」のような夢のような文言が出てきたら注意しましょう。

残念ながらどの世界にも「絶対」はなく、うまい話には裏があることが多いのです。

しっかりとネットリテラシーを駆使して、何が本当で何が怪しいのかを見極める力をつけましょう。

また、SECが教育用に詐欺サイトを作成しており、購入ボタンを押すと、騙されないための注意点をまとめたSECのサイトに飛ぶように作られています。

そちらをチェックして、詐欺に騙されないようにするのも対策になりそうですね。

これらの対策をしたからと言って必ずしも騙されないとも言い切れませんが、可能な限り調査を行ったうえで取引に参加することが重要です。

仮想通貨(暗号資産)詐欺にあってしまったら

どれだけ「気を付けよう」と思っていても、巧妙な手口の多い昨今の詐欺を回避しきるのはプロでも難しい至難の業です。

上記のことを意識していても、ハッキングや公式サイトに類似したサイトからのメールだとついつい開いてしまったり、焦って反応してしまったりしますよね。

そんな場合は、まずは信頼できる親族や友人といった第三者や専門家に相談するのが良いでしょう。

相談することで自分の状況を冷静にアウトプットし、二次・三次被害を減らすことができます。

また、冷静になったのちに、あまりに悪質な詐欺被害を被ったと判断した場合には、しっかりとした専門知識にアドバイスをもらいましょう。

法的処置を施すかどうかを、信頼できる第三者と決めましょう。

金融庁金融サービス利用者相談室

金融庁金融サービス利用者相談室では、金融に関する相談や質問を電話で対応しています。

自分の被害内容を冷静に整理し、次にどのような動きをすればいいのかを考えることを手伝っています。

また、集めた意見を金融庁内で共有し、金融行政に活用しているそうなので、今後の同じような詐欺被害減少にも貢献できます。

しかし、ホームページの序盤の案内にもあるように、あっせん・仲介・調停を行ってもらうことはできません。

なので「とりあえず話を聞いてもらって落ち着きたい」「冷静に話を整頓したい」といった場合には連絡してみるとよいでしょう。

消費者ホットライン

消費者オンラインは、こちらも同じく、手数料がかからず電話での相談が可能です

手軽に話を聞いてもらい、アドバイスをしてもらえます。

ただし、具体的なアドバイスやサポートは行っていないので、「話を聞いてもらって一度自分の中で冷静に整理したい」と思われる方は利用してみましょう。

弁護士

上記の二つよりも適格な動きのアドバイスをくれるのが弁護士です。

具体的な証拠を集めたり、解決実績の高い弁護士の下で相談をすれば、被害金が回収できる可能性もあります。

「被害金を少しでも多く回収したい」とも割れる方は、まず弁護士に相談するべきでしょう。

人によって被害のタイプやスケールは異なるので、自分に合ったアドバイスをしてくれる専門家として、弁護士に頼ってみるのも得策といえます。

仮想通貨(暗号資産)詐欺って本当にあるの?まとめ

仮想通貨(暗号資産)の詐欺については、いかがでしたか?

年々増加傾向にある暗号資産(仮想通貨)関連の詐欺被害ですが、年を追うごとに手口も様々で、本当のことと嘘の判別は、なかなかすぐには付けづらいですいよね。

プロでも見分けが難しい暗号資産詐欺ですが、上記の条件や事例が少しでも悲劇を回避することにつながることを祈っています。

特に取引に慣れていない方は、正規のサイトや取引所を使って暗号資産を取引すること、届いたメールにむやみやたらにレスポンスを送ったり反応したりしないこと、何かあったらすぐに専門家や信頼できる人に相談することを意識して暗号資産(仮想通貨)の取引を楽しんでくださいね!

また、周りに「暗号資産(仮想通貨)関連の詐欺に騙されてしまった」と困っている方がいらっしゃったら、条件や過去の事例を参考にして、専門家に連絡することをお勧めしましょう。