
暗号資産(仮想通貨)に携わっていれば、ブロックチェーン技術が注目を集めていることも、さまざまな分野に応用できることもご存じかと思います。
そんなブロックチェーンにもいくつか種類があります。
なかでも最近注目を浴びているのが、イーサリアムの「ブロックチェーンシステム」です。
イーサリアムのブロックチェーンシステムを応用して発行されたトークンは数多くあり、この暗号資産ジャーナルでも何度か取り上げています。
そんな中でイーサリアムのトークンの話の中で「ERCトークン」という単語が出てきて「これは何だ?」と思ったことはありませんか?
そこで今回は、ERCトークンとその種類について説明していこうと思います。
目次
ERCトークン
ERCとは、Ethereum Request for Comments(イーサリアム・リクエスト・フォー・コメンツ)の頭文字をとったものであり、イーサリアムのブロックチェーンを利用してトークンを発行するための規格のことなのです。
ERCトークンは、現在使用されているだけでも10種類以上ありますが、今後も増えていくものと見られています。
ここでは主に利用される「9つのERCトークンの規格」について説明していこうと思います。
1.ERC20
ERC20はもっとも多く利用されているERCトークンの規格で、「トークン」そのものとして機能します。
ERC20はすでに2万以上ものトークンで採用されていて、以前当サイトでもご紹介した「ベーシックアテンショントークン」や「Social Good」などもERC20を利用しています。
ERC20は、Fungible Token(ファンジブル・トークン)と呼ばれています。
Fungible Tokenとは「代替可能トークン」という意味で、全員持っている暗号資産の価値が同じということを意味します。
一般化されて慣れ親しまれ始めているERC20ですが、一つ難点があるとするならば、送金先のアドレスを間違えてしまうと、あて先不明の場所でも二度と手元に帰ってこないというところです。
利用する際には十分気を付けて送金するようにしましょう。
2.ERC223
ERC223は、ERC20の問題点であった、「間違ったアドレスに送金した場合に二度と戻ってこない」ところを解決したバージョンです。
ですが、今はERC20のほうが主流であり、ERC223はあまり使われていません。
3.ERC621
ERC621は、Re-Fungible Token(リファンジブル・トークン)と呼ばれるもので、この後に説明するERC721のNon-Fungible Token(ノンファンジブル・トークン)の証券化をするという特徴があります。
資産の固有性を保ちながら多くの人でアクセスすることを可能にし、流動させ、公平性や透明性を生み出そうという趣旨のものです。
ちなみに、証券化とは、会社がもつ資産を証券に形を変えて資金調達を行う資産運用の方法の一つです。
4.ERC721
ERC721は、Non-Fungible Tokenとよばれ、「代替不可能なトークン」です。
ERC721は、ERC20とは違い、通貨のようなトークンではなく、各トークンに所有者の名前のようなメタデータを含ませることが可能になりました。
主に記録により、どのような経路とたどってきたかがわかるようになります。
5.ERC864
ERC864は、Non-Fungible TokenであるERC721を分割共有することを可能にしたトークンです。
6.ERC884
ERC884は、ERC20に似ていますが、デラウェア州の法律に基づいて作られた、法人向けのトークンです。
トークンの保有者を明記して、ホワイトリスト(警戒の必要がない会社のリスト)に登録することのできるトークンです。
7.ERC948
ERC948は、イーサリアムのサブスクリプションモデルです。
私たちが実生活で利用している月額定期支払をイーサリアムで支払えるシステムの実現を目指しています。
8.ERC1068
ERC1068は、ローントークンです。
P2P融資やクラウドファンディングなどのローンに対応するモデルのトークンで、ローンの資金調達、募集額受け入れ、支払期日の返済などの機能が搭載されているトークンです。
9. ERC1155
ERC1155は、今までに出てきたFungible Token
とNon-Fungible Tokenの両方の性質を持ち合わせたハイブリッド型のトークンです。
ゲームでの実用性が考慮されており、デジタルアイテムを1度に複数まとめて送信することや、デジタルアイテムを複数人から受信することができる、取引のコストを抑えたトークンです。
まとめ
今回はたびたび耳にするERCトークンについて解説していきました。
ERC20のおかげで様々なトークンが生成できることが分かりました。
さらに、イーサリアムについての記事でも説明した通り、イーサリアムのブロックチェーン技術はスピードが特徴的です。
他の暗号資産と比べてもスピードが段違いに速いことが分かります。
今後もERCトークンの新しい規格が増え続けることが予想されますが、今度はどのような特徴をもったものがでてくるのか、そしてどんなものに応用できるのかが楽しみになってきますね。