
「暗号資産(仮想通貨)」と耳にすれば、だれもがビットコインやイーサリアムといった現存のインターネット上の資産を思い浮かべますよね。
しかし、「人」が暗号資産(仮想通貨)になりうるといわれたらどう思いますか?
今回の記事では、「自身を暗号資産(仮想通貨)のトークン化する」という大胆なアイデアを思いつき、実際にトークンになった人と、そのワケについて探りたいと思います!
目次
人間をトークン化ってどういうこと?
何かを代用してトークンにしようという発想は今までにもあったかもしれません。
しかし、「人をトークン化するってどういうこと!?」と思われた方も少なくないかと思います。
「人がトークンになる」ことは、すでに英語では「Self-Tokenization(セルフ・トークナイゼーション)」と命名されています。
今回は実際にトークンになった男性たちについてお伝えしながら人間のトークン化についてお話していこうと思います。
トークンになったフランス人男性
23歳フランス人男性のアレックス・マスメジさんは、「自分自身をトークン化する」というアイデアで、イーサリアムネットワークでそのトークンを分配化し、2万ドル(約200万円)を調達しました。
トークンの内訳は、「投資家に自分の生活や人生の一部を切り取って決めてもらう」というものです。
海外のユーチューブチャンネルをご覧の方の中で、ユーチューバーが
“My followers decide my day” (私のフォロワーが私の一日を決める)といった題の物を見たことがある方もいらっしゃると思います。
そう考えてみると、斬新に見えて意外と他のプラットフォームですでに企画として実施している人もいるのですね。
Self-Tokenizingの場合、トークンの保有者は、マスメジさんが「ジョギングをするべきか」や「野菜のみ接種すべきか」といった内容を決めることが趣旨のようです。
マスメジさんは「$ALEX」として自身のトークンを売り出したいます。
一見奇妙な活動に思えますが、マスメジさん曰く、その先にはさらに壮大な目標があるとのことです。
「自身が成長し、利益をうむことで社会に影響を与え、世界を変えたい」という壮大なスケールで今後の未来図を想像し、新しい形で暗号資産(仮想通貨)を世界に広めることが期待できます。
世界初 Biocoinのクリエーターが自らをトークン化?
実は、「自分をトークン化する」ということを考えたのはマスメジさんだけではなく、先駆けてこのアイデアを実現化している人物がいたのです。
ロシア発の「Biocoin」という暗号資産(仮想通貨)があるのですが、このBiocoinの共同開発者の一人であるボリス・アキモフさんは、世界で初めて「自分をトークン化する」というアイデアを作り出し、実際にトークンとして活動しました。
アキモフさんは「Akimov coin」として、モスクワのWaves Platformというブロックチェーンシステムで自身をトークン化したそうです。
自身の既存のE-コマースの事業であるオーガニック食品の事業とリンクさせ、Akimov coinに投資をするとオーガニック食品のサービスが割引されるシステムを作っています。
アキモフさんは、自身の知識と経験を売りにしてサービスを提供しており、アキモフさんのサービスの価値が上がれば、トークンの価値も上がるという構想を描いています。
セルフ・トークナイゼイションの未来・将来性
「人をトークン化する」という言葉をみると違和感を覚える人も少なくないでしょう。
しかし、「ある人の時間をお金に換算する」と言い換えれば、そこまで珍しくないサービスに思えてきます。
時給換算のアルバイトを経験している人ならば、なおとらえやすいでしょう。
このアイデアは、近い将来、価値訳しているスポーツ選手を起用している企業からも人気が出るサービスなのではないかといわれています。
また、SNSのインフルエンサーが自分自身をトークン化するような時代もいずれ来るのではないでしょうか?
動画配信サービスのストリーマーや音楽アーティストが資金集めの方法として利用することを想像するのは難しくありませんね。
個人トークンの懸念点
ここまで見る限りだと、新しく、面白いアイデアに聞こえます。
しかし、考えられる懸念点もいくつもあります。
ここまで読んでくださった方の中にもそうお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
サービスの限界
このサービスを初めて耳にする方は、「トークン化される人のプライバシーは大丈夫なの?」と思われたでしょう。
一人の人間の時間の価値をトークン化するとなると気になりますよね。
トークンを買うという行為は、基本的に「トークンを保有する」という了解のもと行われているからです。
下手をすれば、サービス提供者の意思に関わらず人権問題や誘拐問題にも発展する可能性もありえなくはありません。
マスメジさんによると、今のところ人生を大きく左右する決定をこのサービスによって選択したことはないようです。
「自分の交際や結婚に関わる決定はさせない」とも話しています。
人生においてのどの選択肢も個人トークンの投資家たちにゆだねられるというわけではなさそうです。
行き過ぎたチャレンジや選択肢のせいで過ちを犯す人が出てこないよう、ガイドラインが設定されるなどの改善案が出てくれば、トークンたちも限度を設定しやすいでしょう。
投資者の要望
マスメジさんの場合のように、「投資者間の投票によって行動を決定する」と決めた場合、多数決になってしまいます。
その場合「投資したのに自分の要望が通らなかった。」と、不満の声が上がる可能性もあります。
アキモフさんの場合であれば、自分の知識や経験をトークンのサービスとしてお金に換えていますので、このような問題は起こりえないかもしれません。
どちらにせよ、投資者とトークンの間で、双方が納得のいく決定方法が見つかることがこのサービスの発展の肝といえるかもしれませんね。
法的な問題
いままでの内容でも記したとおり、このサービスはまだ新しく、現在はまだ細かいガイドラインや法的な枠組みはないようです。
個人トークンは証券ではありませんし、いままでの投資とは違うベクトルのリスクもあります。
既存のサービスと照らし合わせてみると「クラウドファンディング」サービスと同じようなものであるといえます。
この問題に関する懸念を払拭するためには、個人トークンのみならず、トークンの仕組み自体にある程度の法的強制力がなければなりません。
個人トークンの今後に期待
いかがでしたか?
「人がトークンになる」というアイデアはまだまだ改善点や懸念点があり、実用化はまだ先のように見えますが、新しく面白いアイデアですね!
今のところはまだ「エンターテイメント」の一つとして捉えるのが妥当かもしれませんが、将来的にはスポーツ選手やSNSインフルエンサーがこの分野で活躍するかもしれませんね。
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