インド政府、暗号通貨を禁止する方向へ

インド政府は、11月23日、国内のほとんどの暗号通貨を禁止する法案を提出すると発表しました。これは、ここ数か月において政府がデジタル通貨に対する見解を軟化させるのではないかと高まっていた期待を裏切る形となります。

この法案は、基盤となる技術とその用途の促進を可能にするための一定の例外を除き、すべての民間暗号通貨に関するものということで、法案の先行きに関する決定が発表された後、インドの取引所では暗号通貨の価格が下落しました。

暗号通貨に特化した法案

政府公報によると、今回の禁止措置は、冬の会期中に提出される「暗号通貨と政府公式デジタル通貨の規制法案」の一部内容とのこと。

予定されている法案は、「インド準備銀行(RBI)が発行する公式デジタル通貨の創設に向けて、促進的な枠組みを構築する」ことを目的としています。

裏切られた期待

ここ数カ月、政府は暗号通貨に対する態度を軟化させ、決済手段ではなく資産として規制することを模索するのではないかと考えられていました。ただ基本的には、ほとんどの民間暗号資産は取引禁止、その代わりに、政府が事前承認した通貨のみを取引できるようにする可能性があるといいます。

市場への影響

法案の発表を受けて、いくつかのデジタル通貨の価値が下落したと報じられています。

ビットコインはインドの取引所サイトWazirXで13%以上下落し、柴犬コインとDogecoinはともに15%以上の下落となりました。

しかし、「The Crypto Trader」の著者であるGlen Goodman氏は、BBCのラジオ番組「World Business Report」で、このインド市場による価格の下落の世界的な影響は「比較的小さい」と語っています。

「中国が暗号通貨の禁止を決定したときも、これは本当に大きな出来事でしたが、暗号通貨市場を完全に虐殺するには至りませんでした」と彼は述べています。

インドのニュース誌「India Today」のビデオレポートによると、ユーザーが一定の要件を満たす取引所から購入する限り、提案されている法案の下でも暗号通貨の取引は継続されるようです。

また、投資家を保護する目的で、暗号通貨を作ることができる人を制限することに重点を置いた法案になる可能性もあるとしています。

深刻な懸念

CoinDeskのウェブサイトによると、同国の中央銀行であるRBIは、暗号通貨について保守的な見解を持っているとされています。

2020年3月、インドの最高裁判所は、RBIが課した2年間のデジタル通貨取引禁止令を覆しました。また先週、RBIのシャクティカンタ・ダス総裁は、「マクロ経済と金融の安定性の観点から深刻な懸念がある」とし、ブロックチェーン技術は暗号通貨がなくても繁栄できると述べました。

しかし、Goodman氏は、中国での最近の禁止措置や、エルサルバドルが火山の麓にビットコインの都市を建設する計画で、その資金に暗号通貨が使われていることを指摘しました。

「政府は、ビットコインをどのように見ているかについて、非常に異なるアプローチをとっています」とGoodman氏は言います。「脅威なのか、チャンスなのか、あるいはその中間なのか」。

Goodman氏によると、中国政府は自分たちが作っているもの以外のすべてのデジタル通貨を排除したいと考えているそうです。

「彼らは暗号通貨を支配したいと考えていますが、インド政府も同じ考えを持っているように思えます。彼らは、"中国がやっているのだから、我々もできるだろう "と考えているのです。」

デジタル法定通貨を作るメリット

じゃあなぜそもそもデジタル法定通貨を作るのか?

中国で導入を進めようとしているデジタル人民元は主に以下の2つの目的があると言われています。

  1. 通貨の国際化
  2. 通貨の監視強化

まずは一つ目の「通貨の国際化」ですが、現在もっとも国際的に使用されている通貨はアメリカドルです。中国はこれに対抗して自国の通貨の競争力を強めたい狙いがあります。そこで、既存の通貨に対して利便性の面で大きく差をつけることのできるデジタル通貨を普及させることで自国通貨価値を上げようと考えているのではないでしょうか。

二つ目の「通貨の監視強化」ですが、監視社会である中国において、デジタル通貨を国が管理することで、人民の資金の流れをすべて把握することが可能になります。政治体制としては社会主義を貫いている中国ですが、現在の経済体制は至上主義経済が根底にあります。民間の会社が運用するアリペイやWe Chat Payの普及率が高く、国が資金の流れを完全に把握できるとはいいがたい状況です。これを打開するためにデジタル通貨を導入したいのではないでしょうか。

もちろん、中国政府が正式に理由を公表しているわけではありませんし、インドも同じ理由でデジタル通貨を発行しようとしているかは分かりません。

ただ、インド準備銀行(Reserve Bank of India)のT Rabi Sankar(T・ラビ・シャンカール)副総裁は2021年7月に行われた会合で、インドのデジタル通貨が「グローバル決済システムにおいて主導的なポジションを繰り返し主張できるように、計画を進めることが中央銀行の努めです」と述べています。

また、インドは公職の汚職に長年頭を悩ませています。デジタル通貨の導入によって資金の流れを把握したいという思惑も少なからずあるはずです。

まとめ

いかがでしたか?インドと中国という世界でトップ2の人口を誇る大国が暗号資産の取引を禁じるというのは、市場に少なからずダメージがありますよね。

暗号資産取引をする上では、こういった国際的な動向も気にしていく必要があります。次は何か明るいニュースに期待したいですね!

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