
「マウントゴックス事件」という事件をご存じですか?
ビットコインをご存じなら、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
2014年に起きた、巨額のビットコインが消失してしまった事件のことです。
昨年2019年にマウントゴックスの元CEO、マルク・カルプレス氏の判決公判が行われ、世間を騒がせたことも有名でしょう。
今回は、マウントゴックスの事件について掘り下げ、今後取引所を選ぶ際に気を付けるべきことなどをお伝えしていこうと思います!
マウントゴックスとは?
マウントゴックス(MTGOX)とは、2010年からビットコイン事業を開始した取引所の名前です。
もともとは暗号資産(仮想通貨)取引所ではなく、トレーディングカードの交換所として誕生したそうです。
2010年にビットコインの事業を開始し、2011年にマウントゴックス事件の被告人(冒頭にも登場した)マルク・カルプレス氏によって買収されました。
2年後の2013年には、当時の世界のビットコイン取引量の70%を占める取引所にまでなりました。
しかし、現在ではいくら頑張って「マウントゴックス」と検索してもそのような取引所はなく、あるのはこの事件の記事ばかりかと思います。
それは、この事件をきっかけに経営破綻してしまい、今ではもう存在しないからなのです。
ビットコイン大量消失 マウントゴックス事件の概要
では、マウントゴックスがどんなものか分かったところで、事件に触れていきましょう。
世界の7割ものビットコインが取引される取引所までに成長を遂げたマウントゴックスですが、翌年の2014年に事件は公になります。
それが巨額のビットコインと顧客から預かった金銭が消失した「マウントゴックス事件」です。
経緯としては、マウントゴックスのサーバがサイバー攻撃を受け、ハッキングの被害にあってしまうことから始まりました。
消失した額はなんと、約75万BTC、当時のレートで計算をすると約480億円分のビットコインと、顧客からビットコインの売買の資金として預かっていた現金28億円です。
この消失事件を受け、マウントゴックスは債務超過に陥り経営破綻してしまいました。
同年、東京地裁に民事再生法の申請を行っているそうです。
ここで、出来事を大まかに時系列順に整理しました。
- 2011年6月19日 ハッキング被害を受け、875ドル以上の被害額が出る。
- 2014年2月7日 表向きシステム障害によりビットコインの払い戻し停止。
- 2014年2月28日 民事再生法適用申請を開始し、事件が公に。
- 2014年4月24日 破産手続き開始。
- 2015年8月1日 元CEOのマルク・カルプレス氏、横領の疑いで逮捕
- 2018年6月22日 破産手続きから民事再生法手続きへ。
CEOマルク・カルプレス氏が関与? 事件の真相
事件の概要にもあるとおり、マウントゴックス事件発生当初はハッキングによる「サイバー攻撃」であると報道されていました。
しかし事件発生後の2015年に、カルプレス氏の口座残高が不自然に増えていたことから、自身の口座残高水増しの容疑で逮捕されました。
さらに追うように、クライアントから預かっていた金銭を不正に着服したとして業務上横領の疑いで再逮捕されたのです。
このことから、カルプレス容疑者がビットコインと現金の消失に関与があることが明るみになりました。
調査が進むと、システムがカルプレス氏による不正操作されていたことも発覚しました。
カルプレス容疑者は一貫して無罪を主張し続け、横領を認めることはなかったようです。
裁判は2017年から2019年にかけて行われましたが、結果的に2019年3月に事実上の無罪判決が下されました。
しかし、流出した資産がクライアントに戻ってくることはなく、いまだにビットコインと現金の流出にカルプレス氏が関わったとして調査が続いています。
マウントゴックス事件が暗号資産に及ぼした影響
この事件は、多くの人が暗号資産(仮想通貨)について知るきっかけになりました。
そして残念なことに、悪印象を与えるきっかけともなりました。
マウントゴックス者は当然ながらネット炎上し、ビットコイン自体の信頼を大きく揺るがしました。
メディアによる報道では、ビットコインが見出しに多く利用されたので、ビットコインのイメージダウンにもつながってしまう結果となりました。
その結果、多くの投資家が撤退し、ビットコインの価格は暴落してしまったのです。
しかしこの事件は、発生直後のみならず、暗号資産(仮想通貨)市場自体のありかたにも大きく影響を与えました。
2017年4月には「改正資金決済法」が施行され、「取引所の登録制と規制」が義務づけられるようになりました。
これにより取引所を自由に設立できなくなり、サービス停止や撤退を余儀なくされた暗号資産(仮想通貨)取引所もありました。
また、「登録業者の規制」も制定されました。
これは財務規制によって登録者を審査するものなのですが、資本金の最低額が1000万円に設定され、純資産額が必ずプラスになることも条件づけられました。
登録業者は当然この両方をクリアしなければなりません。
さらに、企業が保有する資金とユーザの資産を分けて管理する「分別管理」の規制も加わりました。
マウントゴックス事件のように、企業の資産とクライアントの資産を一緒に管理してしまうと、横領が起こるリスクが高まってしまうのでこのような管理方法が決まりました。
そして、第三者の立場にある専門家の監査も入ります。
公認会計士か監査法人による外部監査が必要です。
このような改正を経て、暗号資産(仮想通貨)取引所がより安全で利用しやすい環境になりました。
マウントゴックス事件から学ぶ 暗号資産(仮想通貨)
マウントゴックス事件において、ビットコインの問題性がうたわれることがありましたが、この事件から学べることはあくまでもセキュリティシステム強化の重要性です。
事件の原因となったのがマウントゴックス社のセキュリティの甘さであったからです。
実際の社会においても、多額の金銭が消失した場合にお金事態に問題が無いのと同じです。
それを踏まえたうえでユーザは、利用する暗号資産(仮想通貨)取引所がコールドウォレットを利用しているかや、保証内容が充実しているかを確認する必要があります。
分別管理において、コールドウォレットが利用されていることによって、ハッキングによる資産の流出の可能性が低くなります。
保証内容が充実していることは、管理業者や取引所に何かあった際に、預けた資産が戻ってくるかがかかっています。
また、セキュリティのシステムとして「マルチング」や「二段階認証」を行っているところを選ぶことも安全につながります。
マルチングとは、公開鍵と秘密鍵を複数持つことでセキュリティを高めるシステムのことです。
マルチングを利用すれば、ハッキングが困難になりますので、セキュリティ対策としては非常に有効といえます。
二段階認証とは、取引画面へログインする際にワンタイムパスワードを発行し、スマートフォンを介してログインする方法です。
登録済みのIDやパスワードだけではなく、スマートフォンを利用しなければログインできないので、不正出金されにくいシステムとなっています。
これらのシステムや制度を意識して取引所を選べば、大切な資産を守ることにもつながりそうですね。
まとめ
マウントゴックス事件について興味を持っていただけたでしょうか?
歴史をさかのぼると、そこから学べることも多くありますね。
この事件は、ビットコインの歴史の中ではネガティブなものでしたが、悪いことが起こってしまった場合、私たちはそこから学ぶことで二度とこのようなことが起こらないように心がけるしかありませんね。
ビットコイン自体は安全な暗号資産(仮想通貨)なので、キチンと知識を身に着けることによって安心して利用できるようになることが一番ですよね。
私たち暗号資産ジャーナルは、お役立ち記事を日々更新しています。
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