
2020年3月、Coincheckが日本で初めて「Quantum」という暗号資産(仮想通貨)の取り扱いを始めました。
さまざまなメリットを持ち合わせていることで将来性が期待されていますが、どのような特徴を持っているのでしょうか?
今回はそんな「Quantum」についてお伝えしていきます!
目次
暗号資産(仮想通貨)「Quantum」とは?
「Quantum(クアンタム)」(QTUM)とは、Qtum Foundation (クアンタム財団)により開発され、2016年に誕生したオープンソースブロックチェーンプロジェクトです。
オープンソースとは、プログラムが公開されているもののことで、ある程度改変や再配布が自由に行えるということです。
クアンタムは、ビットコインとイーサリアムのブロックチェーンの長所が盛り込まれていて、それぞれのブロックチェーンが持っている問題も解決しているそうです。
ビットコインのシステムのように安定性が高く、イーサリアムのスマートコントラクト機能を兼ね備えていることで人気を集めています。
Quantumの特徴
ここからはQuantumの特徴を見ていきましょう。
ビットコインとイーサリアムの良い所取り
先ほども述べた通り、クアンタムはビットコインとイーサリアムの長所を盛り込みつつ、それぞれのブロックチェーンの持つ課題に対処もしている暗号資産(仮想通貨)です。
その方法を詳しく見ていきましょう。
まず、ビットコインの「UTXO」という技術を採用しています。
UTXOとは、暗号資産の残高管理方法の一つです
ビットコインやクアンタムの場合、残高がウォレットにそのまま記録されるわけではなく、UTXOで管理されます。
UTXOは、ユーザに紐づけられた「分割不可能なコインの塊」を利用し、その塊がどのように取引されたかを追跡することによって現在の残高を算出しています。
例えば1BTC持っているユーザが0.3BTCの買い物をするとき、UTXOでは1BTCを分割できないので、一度売り手に1BTC渡し、おつりとして0.7BTCを受け取るといった仕組みになっています。
こうした複雑な構造にすることによって追跡が困難になっており、高い匿名性を維持することができます。
また、イーサリアムの技術を採用している面ですが、クアンタムはイーサリアムのスマートコントラクトを実装しています。
スマートコントラクトは、事前に定義した条件が満たされると、契約と価値移転が自動的に行われるシステムです。
この技術は不動産や自動車販売などの仲介が必要な取引を、当事者間のみで行うことを可能にしました。
クアンタムはビジネス向けに開発された暗号資産(仮想通貨)なので、匿名性と自動契約履行の二つの特徴を持ち合わせることで様々なニーズに応えることができることが想定されます。
ビットコインとイーサリアムの課題も解決
上記ではビットコインとイーサリアムの長所を盛り込んだ面について触れましたが、それにあたって発生する課題も解決しています。
課題の一つはスマートコントラクトとUTXOの相性の悪さです。
スマートコントラクトは、動かすために多くの情報を書き込まなければなりません。
これは複雑な残高管理処理を行うUTXOとの相性はあまりよくありません。
そこで、クアンタムは「Account Abstraction Layer(アカウント・アブストラクト・レイヤー)」(AAL)という技術を採用しました。
AALは、スマートコントラクトとUTXOの橋渡しが行える技術です。
AALはクアンタムが独自で開発したもので、UTXOベースのブロックチェーンシステムにバーチャルマシンを構築し、スマートコントラクトを動かす仕組みとなっています。
ライトウォレットで動きが軽快
クアンタムは「ライトウォレット」という形式のウォレットが提供されます。
ライトウォレットとは、ユーザが必要な分だけブロックチェーンデータをダウンロードするだけで足りるウォレットのことです。
必要な分だけダウンロードするので、取引記録を高速でダウンロードでき、サーバの容量もあまり使いません。
英単語の「Quantum」は日本語で量子という意味で、物理学の様々な物理現象における物理量の最小単位を表すので、クアンタムの名称はそこから来ていることが推測されます。
イーサリアムでスマートコントラクトを利用するには、すべてのノード(フルノード)が必要となりますが、クアンタムにおいてはライトウォレットのみでスマートコントラクトが利用できるので、軽快な動作が必要なIoTなどのデバイスでもスマートコントラクトを簡単に実装することができます。
ネットワークの分散性
クアンタムは、ビットコイン、イーサリアムに次ぐ規模のノード数です。
内訳としては、韓国が半数を占めていて、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどの世界中のノードが建てられています。
このため、比較的にネットワークの分散性が高く、様々な災害や悪影響のヘッジにつながり、クアンタムのネットワークは安定性が高くなることが期待されています。
マイニングで稼ぎやすいコンセンサスアルゴリズム
マイニングとは、暗号資産(仮想通貨)の取引をコンピュータで処理して報酬を得ることを言います。
暗号資産(仮想通貨)ごとにマイニングのルールがあります。
そのルールを決めているのが「コンセンサスアルゴリズム」というシステムです。
例えばビットコインが採用しているコンセンサスアルゴリズムは「Proof of Work(PoW)」と呼びますが、このシステムでは最も早く計算処理を終えた人に報酬が与えられます。
この方法では、高機能のコンピュータであるほど優位なので、マイナー(マイニングを行う人)の資金力もなければ報酬がもらいにくい仕組みになっています。
お金持ちがよりお金持ちになる制度ができているといえます。
一方クアンタムのコンセンサスアルゴリズムは「Proof of Stake(PoS)」を採用しています。
このシステムでは、クアンタムの保有量や保有期間によってマイニングの優先度が変わります。
多くのクアンタムを長い期間持っている人ほど有利になる仕組みです。
PoWは膨大な資金や電力を消費するので、環境にもあまりよくないとされているので、PoSの方が平等性が高いといえます。
GoogleやAmazonと締結
クアンタムは、GoogleやAmazonのような大企業からも注目されており、両社ともパートナーシップ締結しています。
スマートコントラクトを実装したDappsというアプリケーションの開発環境を共同で構築しています。
クアンタムの将来性
いままで挙げてきた特徴からもわかるように、クアンタムは非常に将来性が期待されている暗号資産(仮想通貨)です。
スマートコントラクトを備えているので、ビジネスでの活躍が期待できます。
また、クアンタムは、大型ショッピングモール型ECサイトのアリババ(Alibaba)のリード開発も務めたパトリック・ダイ氏です。
ダイ氏の活躍ぶりからも、クアンタムは開発力の高さで知られており、今後も将来性に来たができる暗号資産(仮想通貨)といえます。
まとめ
今回は暗号資産(仮想通貨)クアンタムについてお伝えしました。
クアンタムは従来の暗号資産(仮想通貨)の課題を解決しつつ、長所を融合させた、将来性のある暗号資産(仮想通貨)ですので、今後の動きによく注意したいところですね。
開発力も高いので、今後クアンタムが人気に慣れば、クアンタムから発展する暗号資産(仮想通貨)が生まれる可能性もあります。
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