
仮想通貨ニュースサイトなんかでも度々見かけるこの「柴犬コイン」。
日本古来の土着犬である柴犬という名前がアルファベットで”Shiba inu”と表記され、しかも仮想通貨のニュースとして取り上げられているのを見ると、目を引かれますよね。
ミームコインと呼ばれるモノの一つであるこの柴犬コインを勉強しながら、ミームコイン全体の将来について考えていきます。
目次
柴犬コインはミームコイン
柴犬コインはミームコインの一つです。
ミームコインとはインターネット上のミーム(ネタ)を元にして作られたコインのことを指します。いわば「ネタコイン」でしょうか。
この辺りを深堀りするには「ミーム」本来について知っておく必要があります。
ミームとは正式には「インターネットミーム」と呼ばれ、インターネットを通じて人から人へと、通常は模倣として拡がっていく行動・コンセプト・メディアのことです。インターネット‐ミーム【Internet meme】- Weblio辞書
日本でもツイッターやインスタグラム、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などで、ネタ画像がバズったりすることがあると思います。
英語圏ではそれらの総称としてInternet meme(インターネットミーム)と呼ぶのです。
イメージが沸きづらい方のために一つ例を挙げましょう。
Launch? I said lunch-quickmeme
上はアメリカで大流行したミームのうちの一つです。
北朝鮮国家主席の金正恩氏が”Launch? I SAID LUNCH.”と言っている画像です。
Launchは「発売する、乗り出す」など何かを始めるという意味を持つ英単語ですが、ミサイルを「発射する」という意味もあります。
つまりこの画像は何度もミサイル実験を繰り返す金正恩氏の部下が、”launch(ローンチ)”と”lunch(ランチ)”を聞き間違えるという強烈な皮肉を含んだネタ画像なのです。
このようにインターネットミームとは、インターネットに拡散する「ネタ」のこと。
そしてミームコインとは、インターネットミームと同じような文脈(ネタ感覚)で開発されたコインを差すことが多いのです。
ミームコインとして初めて注目を集めたのがDOGE coin(ドージコイン)です。DOGEコインについては以下リンクをご参照ください。暗号資産Dogecoin(ドージコイン)ってどんな通貨?最近注目されているワケとは?-暗号資産ジャーナル
そして、このDOGEコインに対抗するように開発されたのが柴犬コインというわけです。
ただし、結局はミームコインであるこの柴犬コイン。
他のコインと比較してどのような特徴を持っているのでしょうか?
柴犬コインの特徴
柴犬コインの特徴は以下の3つです。
- 3種類のトークンを発行している
- ShibaSwapという分散型取引所がある
- ShibaNFTというNFTプラットフォームを持つ
一つ一つ解説していきます。
3種類のトークンを発行している
柴犬コインはSHIB、LEASH、BONEという3種類のトークンを発行しています。
SHIBは最も有名で人気のあるトークンです。柴犬コインと言って一般に示されるのはこのSHIBトークンです。国内の取引所でも取引可能です。
LEASHは元々リベーストークンとして開発されました。リベーストークンとはトークンの価格変動に応じて、流通するトークン供給量が自動的に調整(増加または減少)されるように設計されたものです。どちらも価格目標があるという意味で、ステーブルコインとやや似ていますが、リベーストークンの供給は弾力的で、ユーザーのウォレットの中のトークンの価値を変えることなく、需要と供給に応じて循環供給が調整されることが特徴です。Rebase - Alexandria
ただし現在はリベーストークンとしては機能しておらず、次に説明する分散型取引所ShibaSwapでの報酬としての利用が主となっています。
BONEはガバナンストークンとして、所有数に応じエコシステム内での決定権が付与される仕組みになっています。
ShibaSwapという分散型取引所がある
まずは分散型取引所について簡単に説明します。
分散型取引所はDEX(Decentralized EXchange)とも言われ、管理者(運営者)がいない取引所です。ウォレットや秘密鍵は各ユーザーが保持、管理し、すべての取引が個人間で行われます。
これにより、手数料が安くなったり、ハッキングや個人情報漏洩などのリスクを防いだりすることが可能になります。
逆に運営会社のサポートやサービスが受けられなかったり、流動性が低いことのリスクなどデメリットもあります。
同じく分散型である仮想通貨を取引する際のより効率的な取引手段として注目を集めています。
柴犬コインが持つShibaSwapという独自の分散型取引所では、上記のSHIB、LEASH、BONEをはじめとした通貨の交換(スワップ)やステーキングで通貨を増やすことができます。
ShibaNFTというNFTプラットフォームを持つ
おなじみNFTにも参戦しています。
ShibaNFTでは柴犬をモチーフにしたキャラクターが販売されており、ユーザーはそれを購入し、育成、公開販売することが可能です。
これに関してはキャラクターイメージを武器にしたミームコインならではの強みといえますね。
柴犬コインが盛り上がったわけ
現在柴犬コインは時価総額が1.8兆円を超え、仮想通貨時価総額ランキングでは14位にランクインしています。
ミームコインとして開発された柴犬コインがここまでの注目を集めた理由は何だったのでしょうか。
上は2021年10月以降の柴犬コインの円建てチャートです。
10月前半と後半に大きな上昇が見られますね。
これらの主な理由としては、「クジラの大型購入」「イーロンマスク氏のSNS投稿」等が考えられます。
例えば、10月4日。
テスラ社のCEOであるイーロンマスク氏は以下のツイートを投稿。
https://twitter.com/elonmusk/status/1444840184500129797
単なる柴犬のツイートにもかかわらず、このツイート後柴犬コインの価格は260%まで上昇しました。
このように、ミームコインである柴犬コインは、投機的投資の性格が極めて強く、些細な事柄により市場心理が左右されるのです。
また、仮想通貨購入者の心理的アスペクトに「ユニットバイアス」というものがあります。単価の高いビットコインの一部(0.01BTCなど)を保有するよりも、単価の極めて安い柴犬コインを大量に(10万SHIBなど)保有することに喜びを覚えるという精神的なバイアスがあるのです。
ミームコインの将来
では、これからミームコインはどうなっていくのでしょうか。
当初、仮想通貨というアイディアを茶化すかのように、半分悪ふざけで開発されたDOGEコインや柴犬コインは現在、他の大型トークンたちと時価総額ランキングで肩を並べています。
通貨機能としての利便性や特異性を持たないのにも関わらず、話題性や流行にのみ依存しここまでの地位を築いてきたといっても過言ではないのではないでしょうか。
では将来はどうなるのか。
個人的にはこれらの隆盛は景気に大きな影響を受けるのではないかと考えています。
つまり、経済が停滞し、人々が資金繰りに苦しむとき、果たしてこのミームコインは現状のように高い時価総額を保持できるでしょうか?彼らはそんな時でも、中身の薄いこれらのコインに投資し続けることができるでしょうか?と疑念を抱いてしまうのです。
結局は、アダムスミスの唱えた「見えざる手」のように、人々は合理的な思考を働かせ需要と供給が拮抗し、価格が決まっていくのではないでしょうか。
そしてその時ミームコインの価格は、現在のそれよりもずっと低いところにいるような気がします。
アメリカの経済レポーターであるIsabel Lee氏は”The top 5 crypto predictions for 2022(2022年における仮想通貨に関する予想トップ5)”という記事の中で、「ミームコインのほとんどは2022年に消滅するだろう」と述べています。
もしかすると2021年のミームコインの隆盛は、仮想通貨史における極めて珍しい現象であったと後に語られるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は柴犬コインの歴史を使って、ミームコインの今後について考えてみました。
あくまで個人的な考えであり、市場における価格変動を保証するものではありません。
何が起きるかは分からない仮想通貨市場、経済の動向とともにミームコインにも目が離せません。
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