
暗号ジャーナルでは、暗号資産についての記事を多く掲載してきましたが、今回は暗号資産の取引において、どのようにブロックチェーン上に記録され、取引の流れを追跡できるのかを説明していきたいと思います!
暗号資産取引での匿名性は大丈夫だろうか・・・、取引が追跡できるとどうなるの?と疑問におもっている方はぜひ最後まで記事を読んでみてください!
暗号資産・ブロックチェーン界隈に限らず、2020年7月に起きた、Twitterの乗っ取り事件を覚えているでしょうか?
Twitterで複数の暗号資産の取引所、著名人・大手企業の公式アカウントが乗っ取られビットコイン詐欺の宣伝手段として悪用された事件がありました。
この事件を解決に導いたのが犯人がだまし取ったお金を受け取るために使用したビットコインのトランザクション履歴やウォレットアドレスの追跡でした。
取引の追跡ができるの!?プライバシーの保護っては大丈夫!?と不安を覚えた方もいると思います。
この記事では、ビットコインの追跡できる仕組み、また匿名性について詳しく解説していきます!
#ビットコインは追跡できる!?
ビットコインなどの暗号資産は、ブロックチェーン上にすべてのトランザクション履歴が記録され、取引当事者でなくても取引の流れを追跡することができます。
そのため、ビットコインの取引は高い透明性を保つ決済ネットワークと評価をされています。
しかし、ビットコインの追跡困難性 (特定のユーザーによる複数のトランザクション履歴や流れを追跡することの難しさ)や匿名性(特定の取引にかかる個人・企業情報、IPアドレス、位置情報等を特定することの難しさの度合い)について理解しておくことが重要になってきます。
ビットコインはどうやって追跡されるの?ビットコインアドレスって?
ビットコインがどこからどこに移動しているかを調べるには「ビットコインアドレス」というものをまず理解する必要があります。
ビットコインアドレスとは、ビットコインを利用する上のいわば「口座番号」の口座番号のようなものです。例えば、銀行でお金を送金する場合は、相手の口座番号を指定しますよね?ビットコインでも、移動するときには必ず相手のビットコインアドレスを指定します。
ビットコインアドレスは、Base58というフォーマットになっています。Base58とは、バイナリデータを58種類の英数字のみを用いるフォーマットのことを指します。例えば、よく混同されてしまう、数字の0とアルファベットのoや、大文字のI(アイ)と小文字のl(エル)といった文字は除外されています。
一般的なビットコインアドレスは27文字から34文字の英数字で構成されています。
「1」から始まるのはシングルシグ(公開鍵1つに対して秘密鍵も1つでトランザクションに署名ができる)のビットコインアドレス、「3」から始まるのはマルチシグ(複数のカギをトランザクションの署名に必要でさらにセキュリティを強化したもの)のビットコインアドレスとして区別されています。
セキュリティを懸念している人は、3からはじまるビットコインアドレスを用いることで一つの秘密鍵が漏洩したとしても、そのほかの秘密鍵がないとそのビットコインにアクセスできなくなるのでお勧めです。
また、上記に挙げた1と3からはじまるビットコインアドレスのほかにも、いくつかの種類があります。
例えば、「bc1」からはじまるアドレスは、トランザクション履歴をコンパクトに圧縮して、ビットコインの抱えるスケーラビリティ問題の解決が望める「Segwit(セグウィット)」に対応したウォレットで作成されたアドレスのことです。
しかし、このアドレスでビットコインを移動させる場合は、送り先はSegwit(セグウィット)に対応しているアドレスから送る必要があります。
また、「n」「m」からはじまるアドレスの場合は、「テストネット」というビットコインを開発するための環境で作成されたビットコインです。このテストネット上では、ビットコインは価値を有していません。
ビットコインアドレスと秘密鍵・公開鍵って何が違うの?
上記では、ビットコインアドレスの種類について詳しく解説していきましたが、ここでは秘密鍵・公開鍵との違いをご紹介していきたいと思います。
ビットコインアドレスとは、秘密鍵・公開鍵と同じような表記で表されます。しかし、秘密鍵は、トランアクションを行う上での署名に使用されるので、この鍵は他人には知られてはいけないものです。
もし、他人に知られてしまうと、自身のビットコインをどこでも自由に移動できるなど、悪用されてしまうからです。公開鍵は、この秘密鍵をもとに作成され、秘密鍵を用いて作成された送金依頼を解読する役目を担っています。
公開鍵と言われている通り、この鍵はだれでも見ることができます。そして、ビットコインアドレスとは、この公開鍵をもとに作成されるものです。
つまり、順番としては、まず秘密鍵、そして公開鍵最後にビットコインが作成される流れとなります。
ビットコインアドレスが一般的なIDなどに比べて難しい文字列なのは、自分だけしか知らない「秘密鍵」から生成した「公開鍵」に一方向の暗号学的ハッシュ化を施すことで生成されているためだったのです。
また、ビットコインアドレスを元に公開鍵を特定したり、公開鍵を元に秘密鍵を特定することはできません。
ビットコインアドレスと公開鍵を他人に知られても、セキュリティ上は問題ありません!
ビットコインアドレスが毎回変わるのはなぜ!?
ビットコインアドレスはたとえ同じウォレットに送るのでも毎回アドレスは変わります。なので、受信する場合でも、以前使用したアドレスが使えるわけではないのでその都度に相手に新しいアドレスを確認する必要があります。
では、なぜ毎回アドレスは変わるのでしょうか?
一つ目の大きな理由は、プライバシー保護のためです。いくらビットコインアドレスは他人に知られても問題ないとはいえ、このアドレスをたどると取引内容が確認することができます。特定のアドレスでどのような送受信が赤の他人でも簡単にわかってしまうのです。そのため、毎回ビットコインアドレスを変えることでアドレスの持ち主の個人情報を守る役割があるのです。
プライバシー保護のほかにも、所有資産の流出を防止する役割も持っています。アドレスを毎回変えることで、そのウォレット内に保管されているビットコインの数量をハッカーから守る意味も持っています。
上記にもある通り、ビットコインの移動は、ブロックチェーン上で公開されているため、アドレスを毎回変更しないと、そのウォレット内にどれくらいのビットコインがあるのかを特定されてしまいます。
ビットコインアドレスが毎回変わることで、ウォレット内にどれだけの暗号資産が保管されているのかを隠せるので、ハッキングのリスクも低くすることができます。
アドレスは、秘密鍵と公開鍵から生成され、管理されています。
そのため、秘密鍵や公開鍵を知らない人にとってはただの文字列にしか映りませんが、ハッカーはこうしたデータからも個人情報を盗み出そうとします。ハッキングのリスクを低めるため、またアドレス自体の安全性を担保するうえでも、新しいビットコインアドレスを利用することは大事なのです。
ポイント ビットコインアドレスを守るブロックチェーン技術
上記にもある通り、ブロックチェーン上には、どのようにトランザクションが行われたのか、ビットコインアドレスをたどると移動されたビットコインの数量が詳細に確認することができます。
世界中の人が、ビットコインアドレスを駆使すればトランザクション履歴が分かるにもかからず、安心して取引できるのはブロックチェーン技術のおかげです。
ブロックチェーン上では、個々のビットコインの所有者の判別まではできず、匿名性を保ちながら安心して取引ができるのです。
こうした暗号化されたブロックチェーンによってビットコインは高い秘匿性が保たれているのです。
#ビットコインの追跡の仕方
それでは実際にどのようにビットコインのトランザクションが追跡できるのか、手順を詳しく解説していきます。
ビットコインは「ブロックエクスプローラー」というツールを使って追跡することができます。
このツールを使用することで、トランザクションの履歴だけでなく隠されたメッセージやブロック番号の検索など様々な機能が搭載されその用途は多岐にわたります。
ブロックエクスプローラーとは?
一言でいうと、ブロックチェーンで発生したアドレス、トランザクション、エポック、スロットを検索できるツールのことです。例えば、送金したけど着金しない・・・など不安になったとき、トランザクションをトラックして市場の分析などに役立てることができます!
このブロックエクスプローラーはいろんな業者が開発していますが、その機能はそれぞれのサイトによって大きく変わります。ご自身が使いやすいもの、機能によって選ぶのがよいでしょう。
そのサイトがどんなブロックチェーンをカバーしているのか、検索できる内容、検索以外の機能などサイトをチェックし、自分のニーズに合ったものを探してみてください!
ブロックエクスプローラーはどうやって使うの?
機能について上記でも言及しました、基本的にすべてのサイトに共通してトランザクションの情報を検索する機能は搭載されています。
基本的には、ブロックエクスプローラーを使用することで、暗号資産の送信・受信が完了しているかを確認することができます。
実際に「BTC.com」というWebサイトを使って手順を説明していきたいと思います!
① BTC.com(https://btc.com/)にWebブラウザでアクセスをします。
② 次に、画面の右上にある検索バーに調べたいビットコインアドレスを入力して検索してください。
③ 検索結果として、残高などのアカウントのサマリー情報と、その他の詳細情報が表示されます。
④「Transactionトランザクション」のタブを確認すると、そのアドレスにおけるビットコイン(BTC)の移動履歴をすべて確認することができます。
ブロックエクスプローラーの種類
上述した通り、ブロックエクスプローラーにはたくさんあり、このキーワードをGoogleで検索しただけでたくさんのサイトがヒットします。
今回は、上記でも紹介したBTC.comのサイトも含めて6つご紹介したいと思います。
① BTC.com
マイニング大手のBitmaingaが提供するブロックエクスプローラーサイトです。2015年にオープンし、シンプルかつ効率よく検索できるので多くの利用者が利用しています。また、大手マイニング会社が運営するサイトなので、多くの人に選ばれています。しかし、日本語には未対応です。
② Blockchain.com
Blockchain.comは比較的基本的な機能しか装備されていませんが、シンプルで非常に使いやすいので多くの人に支持されています。ブロック、トランザクション、アドレスなどの情報から検索をかけることができます。
さらに、過去24時間のビットコインのアクティビティや市場の動向をまとめたWealth of statsというページがあるのでぜひ活用してみてください。
③ Blockchair.com
Blockchair.comではビットコインだけではなく、ビットコインキャッシュ、イーサリアムのプールサイズや手数料、ノード数、難易度など様々な情報から検索することができます。
さらにこのサイトではブロックチェーン上の単語も検索することが可能です。例えば、検索するユーザーはお気に入り単語(スポーツチーム・人名・地名)などがブロックチェーン上に記録されているか検索することができます。
④ Tokenview.com
中国のデベロッパーチームによって開発、リリースされたマルチチェーンエクスプローラーです。トランザクション・データ、ウォレットアドレス、ブロックチェーンに関するニュース、ブロックチェーンapiサービスなど機能は多岐にわたります。
特記すべき点は、20種類以上の有名なブロックチェーンを検索することが可能な点です。複数のブロックチェーンを同時に検索する場合には非常に便利なサイトとなっています。
日本語のページが存在しますが、若干粗削りな翻訳になっています。
⑤ Etherscan.io
このサイトではイーサリアムベースのウォレット(Metamas・yetherwalletなど)のトークン残高の特化し、どれくらいあるのかを確認することができます。
イーサリアムを確認できるブロックエクスプローラーはかなりの数が存在しますが、その中でも知名度が高いのは間違いなくEtherscan.ioであると言えるのでしょう
⑤ Bitcoin.com
このサイトは、非常にシンプルで且つ使いやすさを追求したブロックエクスプローラーです。Bitcoin.comは、ビットコインが提供するブロックエクスプローラーです。
サイトではビットコインとビットコインキャッシュのトランザクションを簡単に検索することができ、操作のしやすさからユーザーに高く評価されています。
また、このサイトは日本語対応されているので使いやすいでしょう!
ここで挙げたブロックエクスプローラーほんの一部ではありますが、5種類のサイトはすべてが検索できる内容や機能が大きく違っていたことに気が付いていただけたと思います。
ぜひ、暗号資産を追跡するときにはご自身にあったブロックエクスプローラーをご利用ください。
#まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は暗号資産がどのように追跡でき、そのさいに利用するブロックエクスプローラーのサイトについて詳しく解説していきました。
暗号資産を安全に管理するためには、アドレスを取引毎に変えることの重要性や、ブロックエクスプローラーを活用して暗号資産投資をより円滑に進めるには重要なトピックだったと思います。
実際はご自身が使いやすいと感じるブロックエクスプローラーを探し当てること自体、大変な作業になると思います。
しかし、トランザクション履歴・取引ID検索だけではなく分析や市場チェックなどを行っていくのを想定しているのならこのサイト選びは重要になってくるでしょう。
暗号資産ジャーナルでは、暗号資産に関するさまざまな情報をお届けしているので、気になった方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。