VeChain(VET)とは?仕組みからユースケース、将来性まで徹底解説!

ブロックチェーン技術は、暗号資産、サプライチェーン、企業のシステム、行政の業務など様々な分野に導入されています。この技術はしばしば「破壊的技術」として紹介されていますが、金融・サプライチェーン・製造などの業界のスマートアプリケーション開発に重要な技術進歩を提供しており、将来への期待がされています。ブロックチェーンシステムというと、まずEthereum (イーサリアム)を思い浮かべる方が多いと思います。Ethereumはスマートコントラクトを活用し安全な暗号資産取引を提供し、Bitcoinに次ぐ人気の暗号資産です。他にも「VeChain」、「Hyperledger Fabric] 」、「Quorum」や「Corda 」など、エンタープライズ向けブロックチェーンのプラットフォームは数多く開発されています。

今回はその中から、大企業や行政と提携しながら様々なプロジェクトを展開している「VeChain(ヴィチェーン)」について紹介をしていきます。また、同プロジェクトの中核を担うブロックチェーンプラットフォーム「VeChain Thor(ヴィチェーン ソー)」についても詳しく解説していきます。VeChainの仕組み・プラットフォーム・活用例などVeChainについて詳しく知りたい方はぜひ最後までよんでみてください。

VeChainとは?

VeChainは上海に拠点を置き、香港、シンガポール、フランス、ルクセンブルク、アメリカ、東京など世界各地に拠点を持ち、企業や、行政にブロックチェーンベースのソリューションを提供する企業です。

VeChainは、元ルイ・ヴィトン中国のCIO(最高情報責任者)であるサニー・ルー氏とジェイ・チャン氏によって2015年に共同設立されました。

VeChainチームは当初、2017年に10億トークンを販売し、2000万ドルを調達しました。そのクラウドセールの一環として、Ethereumブロックチェーン上でVeChainの暗号資産であるVENを配布しました。

中国最大級のブロックチェーン企業であるBitseの子会社としてスタートし、確立された企業の間ですでに実質的な顧客基盤を持っている数少ないブロックチェーンの一つでした。

当初、VENトークンはEthereumブロックチェーン上で機能していましたが、2017年にリブランディングを行い、独自のブロックチェーンに移行しました。そのリブランドの一環として、2018年にVENブロックチェーンはVeChainThor(VET)ブロックチェーンに変わりました。そしてVENトークンは、VeChainThorブロックチェーンの立ち上げ時にVETトークン(VETコインと呼ばれることもある)に交換されました。

VeChainブロックチェーン・プラットフォームの目標は、そのホワイトペーパー (英文)に解説されています。当初の目標は、データを実行可能で透明性のあるものにすることで、サプライチェーン業界を革新していくことでした。将来的には、VeChainを利用したdAppsイニシャルコインオファリング(ICO)のリーダーとなり、IoT(Internet of Things)の仲介者となることを目指しています。

そのため、VeChain は、この目標の達成するために、複数の企業と長年にわたって戦略的パートナーシップを締結してきました。VeChainは、戦略的パートナーであるPwC会計事務所DNV GL(安全性と資産パフォーマンスを向上させるデジタルソリューションのリーディングプロバイダー)の専門的なコンプライアンス指導と組み合わせた強力な独立開発能力により、Walmart China、Bayer China、BMWグループ、BYD Auto、PICC、H&Mグループ、上海ガス、D.I.G、ASIグループなど、様々な業界の大手企業とパートナーシップを築いてきました。

具体的な企業のVeChainの活用は、以下のようなものがあります。

  1. BMW: 高級車販売の走行距離計不正防止のためVeChainを採用
  2. Reebonz: 自社ECプラットフォームで流通する高級品の来歴証明とデジタル所有権を確立するアプリケーションを構築
  3. Walmart: 食品の産地、運送履歴などを追跡

さらに、VeChainは、中国の企業である江蘇電子と提携し、プラットフォームで使用するカスタムRFIDチップを開発したり、自動車会社のルノーと提携して製造業務を行ったりしています。VeChainは、中央政府の経済開発区である桂安の政府技術パートナーでもあり中国政府とも密接な関係であると言えるでしょう。

VeChainの詳しいユースケースについてはこの後のセクション で詳しく説明しているのでぜひそちらを参照してみてください。

VeChain(VET)の仕組み

VeChain は、あらゆる企業が新しい種類の dApps を起動できるようにすることを目標として掲げています。

dAppsの作成を容易にするために、VeChainチームは、ソフトウェア開発キットである、低コードブロックチェーンベースのBaaSプラットフォーム「VeChain ToolChain™」を提供しています。このプラットフォームにより、企業クライアントがグローバル規模でデジタルトランスフォーメーションを迅速に構築・推進できるようになり、信頼性の高い分散型エコシステムの進化を可能にしています。

また、VeChainThor(VeChainのパブリックブロックチェーン)はスマートコントラクトをサポートしています。このブロックチェーン は他のエンタープライズ向けブロックチェーン と同じような仕組みをしています。

Proof-of-Authority(権威による証明)

ユーザー間のトランザクションが検証され、VeChain の公開台帳に追加されるプロセスを規制するために、VeChain Thor は、権限証明(PoA)として知られるコンセンサスメカニズムを使用しています。PoAを使用することで、VeChainThorブロックチェーンは、トランザクションの承認権限をVeChainThorブロックチェーン上の特定ノードに委譲することができます。

ブロックチェーンにトランザクションを検証し、追加するユーザーは「Authority Masternodes(オーサリティ・マスターノード)」と呼ばれており、ユーザーは最低2,500万VETを保有し、VeChain Foundation(VeChain財団)に識別情報を提出しなければなりません。

アイデンティティの開示は、Authority Masternodeになるための必須条件なので無名ノードは許可されていません。VeChainのホワイトペーパーによると、このシステムは消費電力が少なく、コンセンサスを得るためのバリデータの最小数を必要としません。

したがって、VeChain Thorは、ネットワークへのアクセスはオープンですが、コンセンサスアルゴリズムに関してはパーミッション型ということになります。

PoAメカニズムを使用することで、大量のトランザクションを迅速に処理することができますが、そのアプローチの欠点は、トランザクションの処理に参加できるユーザーをチェックして承認するために中央の権限に依存していることです。

しかしこの欠点を補うために、よりランダムで分散したブロック作成メカニズムを確保するためのPoAの改善に積極的に取り組んでいます。ホワイトペーパーによると、将来的にはマスターノード以外のノードがランダムに選出され、投票によってブロックを承認される方法を採用していくとされています。

2つのトークン「VET」と「VTHO」

前述した通り、VeChainThorブロックチェーン・プラットフォームは、"ビジネスへの導入 "を目的としたパブリック・ブロックチェーンです。そして、VeChainにはVET・VTHOという2つのトークンが存在します。これは、VeChainのソフトウェアが機能するために、2つのネイティブ・トークンが使用されています。それぞれの役割を簡単に説明すると、VETは価値の保存と転送に使用され、VTHOはブロックチェーン上の取引に使用されます。それでは詳しくみていきましょう。

VETはVeChainのトークンで、スマートコントラクトから価値や「スマートマネー」を運ぶために使用されます。つまり、VeChainのブロックチェーン上で発生する分散型アプリケーション上の金融取引では、VETを使用することとなります。一般投資家が投資することも可能です。

VTHOトークンはVeChainThor Energy(VTHO)の略で、VeThor Energyとも呼ばれています。VeChain上でのエネルギートークン(取引に電力を供給する)として使用されています。このトークンは、ブロックチェーン上で取引を行うためのコストに等しく設定されています。

このコンセプトは、開発者が分散型アプリケーションの取引を行うために、一定数の基本的なトークンの予算を必要とするという点では、Ethereumの「ether(イーサ)」やNEOの「gas(ガス)」と似ています。VeChainのホワイトペーパーによると、2トークンシステムは効果的なガバナンスと、分散型アプリケーションの開発者が予測可能な経済モデルを持つために考案されたと記述があります。

Ethereumのネイティブなガストークンであるetherの価格は変動性があるため、開発者は取引に必要なetherの量を見積もる必要があります。そして、推定値が間違っていることが判明した場合、トランザクションは失敗します。VeChain のホワイトペーパーでは、この問題を克服するためにプラットフォームが行ったいくつかの技術的な強化について概説しています。

例えば、VETブロックチェーンでは、すべてのトランザクションに対してProof of Work(PoW)を実施することができます。これは、トランザクションを行う人々が、最初の見積もりが間違っていた場合、より多くのVTHOをマイニングすることができることを意味します。

この2つのトークンの設計は、VETコインの価格変動をネットワーク上の計算コストから分離し、VeChain上のアプリケーションが安定した料金を請求できるようにすることが可能になりました(VTHORの供給量を調整してトランザクションの安定した価格を維持できるため)。

Ethereum ブロックチェーンが ETH とガスを使用しているのと同様に、マイナー(採掘者)はネットワークで処理された計算に対して VTHO の手数料を得ます。計算が複雑になればなるほど、特定のプログラムに必要なVTHOの数も増えます。

最後に、VETコインをステークしているノードは、ネットワークのアップグレードに投票する能力を得て、ブロックごとにVTHOで報酬を得ています。

VeChainのユースケース

VeChainは以下のような業界で活用されています。」

  1. ラグジュアリーブランド
  2. ロジスティクス
  3. 農業
  4. 自動車
  5. 政府
  6. 食料・衣料品
  7. 医薬品 

それでは一つ一つみていきましょう。

ラグジュアリーブランド 

近年、高級ブランド品の偽造品による被害は4500億ドルを超えると試算されています。そのため、ラグジュアリーブランド企業は、革製品などの製品にNFCチップを埋め込み、製品の管理実験を行っています。

各製品にチップを埋め込み、NFCチップ上およびプラットフォーム上で独自のデジタルIDを割り当てることで革製品の製品偽造を防止しています。製造、物流、倉庫保管、流通、小売、品質チェックの流れをスマートコントラクトによって自動的にプラットフォーム上に保存されます。そのため、改ざんすることは不可能であり、偽造品と区別することができるようになりました。

実際にアジアで事業を展開するECサイトのReebonは、2019年2月28日にVeChainと協業し、高級品のエンドツーエンドのトラッキングと認証ソリューションの契約を締結しました。その詳しいプレスリリースはReebozの公式サイトのニュースリリースで読むことができます。

両社は、製品のトレーサビリティ、サプライチェーン計画、製品管理、所有権の証明を可能にする上流と下流のサプライチェーン保証の開発を可能にするデジタルタグの開発を行いました。VeChainの持つ専門知識を活用し、複製や再利用が不可能な改ざん防止ソリューションを提供しています。販売されたすべての製品に固有のデータは、VeChainThorブロックチェーン上に保持されることになります。製品にはIDが与えられ、取引の詳細、製品管理、所有権の証明はQRコードで管理されます。

消費者はQRコードを通してデータにアクセスし、製品の流れを自ら確認できるようになりました。

ロジスティクス

ロジティクスとは、「物の流れを顧客のニーズに合わせ、原材料や完成品などの効率的な流れを計画・実行・管理する」ことを指します。

VeChainのブロックチェーン・プラットフォームを利用することで包装の品質、輸送時間、総合的なサービスなどを管理、製品を追跡することが可能になります。製品単位で商品を管理できるようになるとよりよいサービス、製品の物流情報を顧客に提供することができ、新しい物流やビジネスモデルが誕生する可能性もでてくるでしょう。

農業

VeChainは、有機栽培を行う農家に対し、クラウドサービスを利用できるブロックチェーンソリューションを提供しています。このクラウドサービスにより、環境に配慮した有機農業製品の認証を行えるようになりました。

このサービスにはIoT技術が活用されており、栽培情報や気候などリアルタイムに似たリングを行いクラウド上でデータが蓄積されています。

このデータは暗号化されており、関係者が秘密鍵を用いて管理しているため透明性と信頼性が担保されています。

また、データを蓄積することで農業企業は作物の量と質を確認でき、作物をより良いものへと改善するヒントや製品の利益を増やすことができます。さらに、肥料や農薬もデータ化されているので、環境への悪影響を最小限に抑えることができます。 

自動車

大手自動車メーカー「BMW」ともVeChainは共同で、デジタル車両パスポート「VerifyCar」というソリューションを開発しています。VerifyCarはトリップメーターの詐称問題の解決を目指しています。

このシステムが導入されていると、走行距離などの自動車の状態が自動的にVeChain Thorに記録され走行履歴や事故歴をブロックチェーン上で管理できるようになりました。このシステムにより、車の情報(走行距離、事故歴)など中古車として売るときに重要な情報の改ざんを不可能にし、正しい市場価値で中古車を売買できるようになりました。

BMWのブロックチェーンの活用事例の記事 の中に、「VerifyCar」の概要が載っています。気になった方はぜひこちらのサイトも参照してみてください。

政府

VeChainは、China Animal Health And Food Safety Allianceなど複数の中国政府機関とパートナーシップを締結しています。

ブロックチェーンの持つ分散化、透明性、安全性といった特徴・仕組みにより、低リスクで情報交換や民間との連携を実現させました。また、政府サービスの質や効率性を高めることも期待されています。

食料・衣料品

中国人の食品安全への関心は年々高まっています。また、コロナの世界的な流行がこのトレンドを後押ししました。そのような背景もあり、食品トレーサビリティとブロックチェーン技術に期待する企業も多く存在します。

実際にWalmart Chinaの店頭に並んでいた商品に付いているQRコードを読み取ると、食品の流れ(生産者・運送履歴など)を消費者が確認できるようになりました。

また、日本でも「産地偽装問題」が度々ニュースになり全世界で食の安全性への関心が高まっていることがわかります。

VeChainを活用することで食品メーカーは食品の安全性を担保し、消費者にとっても責任をおくことがあります。

ブロックチェーンを活用することで偽造を防止し、販売元と輸送手段を追跡できるため透明性、信頼性が高まり、消費者も安心してその商品を口にすることができます。

また、中国のワインボトルへのNFCタグが導入されています。これは大手輸入業者の「D.I.G」(Shanghai Waigaoqiao Direct Imported Goods Co., Ltd.)とVeChain社は共同プロジェクトです。2社は「Wine Traceability Platform」を開発し、生産池から消費者の手元に届くまでの流れを消費者が確認できるようになりました。

出典: VeChain Japan Community

またVeChainのNFCチップは衣料品でも導入されています。ブロックチェーン技術を活用した限定版のNIKEカスタムスニーカー「Air Max 1 'Cherry'」が2020年6月29日に「Chase Shiel(チェース・シール)」の公式ウェブサイトで販売が開始しました。

これはNIKEの公式カスタムスニーカーメーカーの「Chase Shiel(チェース・シール)」と小売業者「Kickz Stand(キックズ・スタンド)」のコラボレーションによって製造された限定モデルです。スニーカーの内部に製品の情報を追跡できるNFCチップを内蔵することで、消費者は製品・流通情報を専用アプリケーションで確認ができるようになっています。

このアプリのおかげで、そのNIKE Air Max 1 'Cherry'が本物であるか簡単に消費者が確認できるようになっています。

出典:Chase Chiel

このようにVeChianは食品・衣料品のサプライチェーン管理などでも活用されており、今後も世界中で広く活用されていくと予想されます。

医療品

新型コロナウィルスの流行で、医療の分野でも積極的なデジタルテクノロジーの導入の必要性について議論されるようになりました。

現在の記録システム(紙での管理、病院ごとでもデータ管理など)は非常に非効率でオンラインで管理されているため流出のリスクも否定できません。そのため従来の記録システムの代わりにブロックチェーンを使うことで、データをブロックチェーン上に保存し、許可された当事者たちのみがアクセスできるようにできます。

実際、2020年キプロスでは、新型コロナのワクチン摂取をVeChainのブロックチェーン (VeChain Thor)上で記録されています。また、ワクチン接種者はVeChain Thorをベースにした「E-HCert  アプリ」からデジタル証明書を受け取ることもできます。

このプロジェクトに関してはCointelegraphの記事でも紹介されているので気になった方は「新型コロナのワクチン接種、VeChainのブロックチェーン上で記録 | キプロスの病院で導入」も読んでみてください。

VeChainのメリットと将来性

まず、トークンに投資するメリットについて考えていきたいと思います。

VeChain 上に構築されたアプリケーションは、取引の支払いに VTHOR を必要とします。アプリケーションが人気のあるものであれば、VTHORの需要が増加し、VETコインの需要が増加し、その価値を高めることができるはずです。需要・人気が出てくればトークンの価格も急上昇するでしょう。

さらに、一般ユーザーは VET トークンを保持してステークするインセンティブがあります。それは、VTHOR の供給量の増減など、VeChain ネットワークの変更について投票する能力を与えるからです。また、様々なグローバル企業とパートナーシップを組んでいるVeChainは注目を集め、投資する投資家も増えてきています。しかし、メインネット移行による期待感で短期的に急上昇したと認識している投資家も一定数存在しています。そのため、長期保有する際はVeChainがどのようなプロジェクトに参画しているかしっかり調べた方が得策と言えるでしょう。

では、将来性はどうでしょうか?

VeChainの技術を活用すれば、サプライチェーン上の製品や全材料をすることができます。このVeChainの技術は、今後IoTの発展と共に必ず必要になってくるでしょう。

既に様々な業界で採用され、業者間でのデータ連携や共有コストの削減、また消費者との信頼関係の構築など有用性が確認されています。今後も、大企業と提携を発表すれば、VETの価格も上がりVechainの将来性は高いと言えます。

また、この技術は、民間の企業だけで導入されたり、開発されているものではありません。

中国政府からも承認されて、行政のブロックチェーン技術パートナーとしてVeChainは選ばれています。

今や、ブロックチェーン技術では抜きん出ている中国での一連の動きは、VeChainの実用性、有効性などを後押しする形になっているでしょう。

また、規制の強い中国で、政府のお墨付きを得たVeChainは、将来的にも発展が望めるプロジェクトと言えるのではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。 VeChainについて詳しく解説してきました。

Vechainは、サプライチェーンや製品管理、輸送手段の効率化など、様々な分野で導入されており、開発も勧められているのがわかりましたね。

また、現在では時価総額上位に名を連ねるまで成長し、今後の将来性に期待感を持つ投資家が多数存在していることも否定できません。今後も大手企業や、政府ともパートナーシップを締結すれば知名度も高まり、時価総額も上がっていくでしょう。 

暗号資産ジャーナルでは他にも暗号資産に関しての記事を多く掲載しています。気になった方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。

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