流動性プールとは?

2020年、注目を集めたDeFi。この暗号資産ジャーナルでも多く取り上げてきました。今回は、そんなDeFiを深く理解するには避けては通れない、「流動性プール」について解説していこうと思います!

2020年12月時点で、DeFiプロトコルにロックされている資産は約150億ドルに達しています。エコシステムは、新しいタイプの製品で急速に拡大しています。

このDeFiの拡大を後押しし、すべての製品の背後にあるコア技術の一つが流動性プールなのです。それでは詳しく流動性プールについてみていきましょう。

流動性プールとは?

流動性プールを使用する「Uniswap」

流動性プールとは、現在のDeFiエコシステムを支える基盤技術の一つです。流動性プールの役割としては、市場参加者間の市場の流動性を高めることです。

この技術は、自動マーケットメーカー(AMM)、貸出および借用プロトコル、イールドファーミング、合成資産、オンチェーン保険、ブロックチェーンゲームなどに欠かせない存在です。

また、流動性プールは、分散型取引、レンディング、その他多くの機能を促進するために使用されます。

一番有名な使用例はUniswap(ユニスワップ)でしょう。流動性プールはUniswapなど多くの分散型取引所(DEX)のバックボーンとなっています。

ちなみに、DEXには2つの方式があります。それがオーダーブック形式とAMM形式です。流動性プールはAMM形式で利用されるプロトコルです。

流動性プールを一言で説明すると、「単一の流動性プールに二つのトークンが含まれ、各プールは同じトークンのペアの新しい市場を確立する」ことを指します。

もう少し詳しく解説すると、リクイディティ・プロバイダー(LP)と呼ばれるユーザーが、プール内に2つのトークンを追加して市場を作ります。オーダーブックを介することなく、トークンを交換したいと希望する人がトークンを流動性プールから引き出すことができます。そして、プールが設定されている限り、即座に決済がなされるという特徴を持っています。

誰もがリクイディティ・プロバイダーになれるため、AMM(自動マーケットメーカー)という存在は市場をより身近なものにしてきました。流動性プールを利用するメリットは、買い手と売り手が2つの資産を所定の価格で取引することを決める必要がなく、代わりに事前に資金を調達した流動性プールを活用して取引ができる点です。

流動性プールを利用した最初のプロトコルの1つはBancorでしたが、Uniswapが有名になりこのプロトコルが注目されるようになりました。

Ethereum上で流動性プールを使用している人気の取引所には、他にもSushiSwap、Curve、Balancerなどがあります。これらの取引所の流動性プールには、ERC-20トークンが含まれています。

流動性プールとオーダーブックの違い

CoinbaseやBinanceのような標準的な暗号資産取引所はオーダーブックモデルに基づいて取引が執行されていますよね。ちなみに、NYSEやナスダックなどの伝統的な証券取引所の仕組みでもあります。しかし、流動性プールは少し違うモデルに基づいて機能しています。

では、流動性プールがどのように異なるかを理解するために、電子取引の基本的な構成要素であるオーダーブックを見てみましょう。

オーダーブックとは、簡単に言えば、特定の市場で現在未決済の注文を集めたものです。

Source: Finematics (https://finematics.medium.com/how-do-liquidity-pools-work-defi-explained-6d3418ea71fa)

上の図をご参照ください。オーダーブックを通して、金融商品に関する取引情報をリアルタイムで投資家に情報が発信されています。買い手と売り手が存在し、彼らの注文が執行されます。このモデルのポイントとしては、買い手(buyer/bidders)は、売り手(seller)が可能な限り高く資産を販売しようとするのに対し、可能な限り低価格で特定の資産を購入しようする点です。取引を完了するためには、買い手と売り手の両方が価格に合意する必要がありますよね。これは、買い手がより高い値段で購入するか、売り手が価格を下げることで起こります。

このように、オーダー同士をマッチングさせるシステムのことをマッチングエンジンといいます。マッチングエンジンと並んで、オーダーブックは中央集権的取引所(CEX)の中核をなしています。

しかし、適正な価格水準で発注してくれる人がいない場合はどうするのでしょうか?買いたいコインが足りないとしたら?そこでマーケットメーカーの出番です。

マーケットメーカーは、常に特定の資産を売買することで取引を促進するエンティティです。彼らは流動性を提供するので、ユーザーはいつでも取引ができ、別の取引相手が現れるのを待つ必要がありません。

分散型金融商品ではこのモデルを導入するとある問題点が出てきてしまいます。オーダーブックがマーケットメイカーに大きく依存しているという点です。

DeFi取引では、資金を保有する中央集権者を介さずに、オンチェーンで取引を実行することができます。そのため、オーダーブックとのやりとりのたびにガス料金が必要になるため、取引を執行するにはかなりのコストがかかります。

また、取引ペアに流動性を提供するトレーダーであるマーケットメーカーの仕事は、非常にコストがかかります。そして何よりも、ほとんどのブロックチェーンは、毎日数十億ドルの取引に必要なスループットを処理することができません。

現在のスループットが1秒間に約12~15件、ブロックタイムは10~19秒となっているEthereumは、オーダーブックの取引は現実的ではありません。

つまり、Ethereumのようなブロックチェーン上では、オンチェーンのオーダーブックの取引は事実上不可能だということです。解決策として、サイドチェーンやレイヤツーソリューションを使用することが想定できます。しかし、これらのネットワークは、現在の形ではスループットを処理することができません。

これこそが、分散型の世界でうまく機能する新しいコンセプトを開発する必要があった理由であり、流動性プールの出番というわけです。

では、流動性プールの仕組み、機能を詳しくみていきましょう。

流動性プールの仕組み

AMM(Automated Market Maker)がDEXに大きな変革をもたらしました。なぜなら、オーダーブックを必要とせずにオンチェーン取引を可能にする大きなイノベーションを起こしたためです。

トークンのペアがあらかじめ流動性プールにリクイディティ・プロバイダー(LP)によって提供され、トークンの交換を希望したユーザーが、自身の保有するトークンを流動性プールに加え、流動性プールに蓄積されたトークンを引き出すことにより、トークンの交換を完了させる方法です。取引を実行するには直接取引相手を必要としないため、トレーダーは、オーダーブックの取引では非常に非流動性が高いであろうトークンペアのポジションに出入りすることができます。

オーダーブック取引は、買い手と売り手がオーダーブックによって接続されているのでピアツーピアと考えることができます。例えば、Binance DEXでの取引は、ユーザーウォレット間で直接取引が行われるため、ピアツーピアです。

一方でAMMを使用した取引は異なります。AMMでの取引はピア・ツー・コントラクトと考えていいでしょう。

前述したように、流動性プールとは、リクイディティ・プロバイダーがスマートコントラクトに預け入れた資金の集まりのことです。AMMで取引を執行しているときは、従来の意味でのカウンターパーティーは存在しません。その代わり、あなたは流動性プールの流動性に対して取引を実行しています。買い手が購入する際、その特定の瞬間に売り手は必要なく、プール内の十分な流動性があれば取引は成立するのが特徴です。

例えば、Uniswapで使用されているような基本的な流動性プールは、供給された2つのトークンの量が常に同じであることを確認するアルゴリズムを使用しています。そして、アルゴリズムのおかげで、プールはどんなに大きな取引でも常に流動性を提供することができます。

流動性プールの活用例

前のセクションまで、流動性プールの活用で一番有名なAMMの解説をしてきました。しかし、これまで述べてきたように、流動性をプールするというのは非常にシンプルな概念なので、様々な使い方がされてきています。

その一つが、イールドファーミング流動性マイニングです。流動性プールは、yearn(DeFiプロジェクトの一つ)のような、レンディングの利益を自動で最適化する利回り生成プラットフォームの基礎であり、ユーザーはプールに資金を追加して利回りを生成することが可能になります。

トークンを適切な人々の手に分配することは、暗号資産プロジェクトにとって非常に難しい課題の一つです。流動性マイニングは、流動性プールを活用したことにより、より成功したアプローチの一つです。

流動性マイニングとは、イールドファーミングを行う「イールドファーマー」が流動性(イールドファーマーの資産)を提供する代わりに、通常のリターン(マイニング)に加えて、新しいトークンも報酬として得ることを指します。基本的には、資産を流動性プールに入れたユーザーにアルゴリズムによってトークンが配布されます。そして、新たにミント(Mint:鋳造)されたトークンは、プールの各ユーザーの取り分に比例して分配されます。

これらは、プールトークンと呼ばれる他の流動性プールからのトークンであっても構いません。例えば、Uniswap流動性を提供したり、Compoundに資金を貸したりしている場合、プール内での自分の取り分を表すトークンが得られます。これらのトークンを別のプールに預けてリターンを得ることも可能になるでしょう。

流動性プールのリスク

DeFiのすべてのものと同様に潜在的なリスクについて留意していく必要があります。

AMMにリクイディティを提供する場合は、インパーマネント・ロス(流動性プールにおいて一時的に受ける損失のこと)に注意する必要があります。要するに、AMMにリクイディティを提供しているときに、プールに提供したときと比較して、その価格が変更した時に発生し損失することです。

AMMに流動性を提供しているならば、変動損失にさらされるでしょう。そのためLPはプロトコル、プール、入金される資産、さらに広い意味でのマーケットコンディションに十分注意する必要があります。

また、開発者がプールを支配できるルールに変更できる許可を持つプロジェクトにも注意が必要です。時々、開発者はスマートコントラクトコード内で管理者キーやその他の特権的なアクセス権を持つことができます。これにより、プール内の資金を支配するような悪質なことを潜在的に行うことが可能になります。

そして、流動性プールも完全無欠ではないかもしれません。スマートコントラクトのバグや流動性プールのハッキングなどのリスクもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか?流動性プールは、現在のDeFiテクノロジーの背後にあるコアテクノロジーの1つということがわかりましたね!流動性プールは、ユーザーと取引所の両方に使いやすいプラットフォームを提供しています。DeFiで今後も活用されていく例が増えていく可能性が高く、注目のプロトコルでしょう。

暗号資産ジャーナルではDeFiだけでなく、他にも暗号資産・ブロックチェーンに関しての記事をたくさん掲載しているのでぜひチェックしてみてくださいね!

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