
現在、世界的なインフレが起きています。アメリカでは先月11月の消費者物価指数(簡単にいうと、消費者が買うモノの値段を表す指標のこと)が、前の年の同じ月と比較し、6.8%上昇しました。この6.8%という上昇率は39年ぶりの高水準であり、現在歴史的なインフレが起きていることが分かります。(出典:11月の米消費者物価指数 前年同月比6.8%上昇 39年ぶり高水準-NHK )
今回は、そのインフレがどのように起きているのか、また日本では何が起きているのか、そしてそれが仮想通貨にどのような影響を及ぼすのか、について考察していきます。
目次
インフレとは
まず、インフレとは何なのかについて簡単に解説していきます。
インフレとは「モノやサービスの値段が上がること」です。例えば、牛丼一杯の値段が300円から400円に値上がりしたり、美容院の値段が4000円から5000円に値上がりしたりすることですね。こうなると、お金の価値は反対に下がっていきます。同じ牛丼を買うのに、より多くのお金が必要になるということは、お金の価値は下がっていますよね。
経済にとって最も良い状態はこのインフレが適度に起こっている状態です。モノの値段が上がるのに、なぜいい状態なのか?それはお金が循環し経済成長を引き起こすからです。
先ほどの例で言えば、
牛丼の値段が上がる→牛丼屋が儲かる→牛丼屋で働く人の給料が上がる→彼らの消費機会が増える→彼らの消費先企業が儲かる
というように、好循環が生まれるのが適度なインフレなのです。
ただ一点気を付けなければならないことがあります。それは「貯金」です。
例えば今から10年間、100万円をタンス貯金するとします。インフレが続き、10年後には物価が2倍になるとすると、お金の価値は半分になります。すると、タンス貯金をしていた100万円が10年前の50万円の価値しかなくなってしまうのです。つまり、100万円で買うことのできるモノの量が半分になるということです。
これを回避するための対策として貯金の代わりに「モノ」を持つことが推奨されます。貴金属や、不動産、また株式や債券などもここではモノとして扱われます。これらはインフレによって価値が上がっていくものだからですね。
このように、インフレという現象は、人々のお金の管理方法を変える動機を与えます。そしてこれが暗号資産の市場にもインパクトを与えるのではないかと言われているのです。
今インフレが起きている理由
先述の通り、現在アメリカでは歴史的なインフレが起きています。
このようなマクロ的な変動の理由を明確に分析することは難しいのですが、考えられる理由はいくつか存在します。
- コロナウイルスの影響で一部商品の供給が減少し、それに対しワクチン接種促進による経済活動の再開で需要が再拡大したこと
- 一部産業で人手不足の解消のため賃金を引き上げたこと
- 各国がコロナ不況に対する経済政策により、貨幣の流通量を上げたこと
などです。
これら、または他の理由も併せて複合的な原因で現在のインフレが起きていると考えて良いでしょう。
日本ではインフレが起きているのか
では果たして日本ではこういったインフレは起きているのでしょうか?
結論から申し上げると「まだ起きていない」です。
通常物価の水準を測るために用いられる消費者物価指数(日本はコアCPI)は前年比でほぼ横ばいであり、海外の物価高の影響はほとんど受けていないように見受けられます。
しかしながら注目すべきなのは企業物価指数です。これは企業間でやりとりする商品の価格の変化を判断する指標なのですが、2021年10月には前年同月比プラス8.0%と約40年ぶりの上昇を記録しているのです。
このまま企業物価が上がっていき、消費者物価が変わらなければ、企業側の負担が増え、雇用や賃金にも影響が出てきそうです。
これが物価高への圧力になる可能性は十分にありそうです。
また、以下は過去40年のアメリカと日本のインフレ率の比較です。
インフレ率の推移(1980~2021年) (アメリカ, 日本)ー世界経済のネタ帳
これを見ると、日本とアメリカのインフレ率はかなりの相関関係にある(互いにリンクしている)と言えるのではないでしょうか。貿易でも強いつながりのある両国にとって、片方のインフレがもう一方へ与える影響は大きいのです。
アメリカが約40年ぶりのインフレ率を叩き出している今、日本もそれに伴いインフレが進む可能性は大いにあるといえるでしょう。
リスクヘッジとしてのビットコイン
このままインフレが進んでいくとすれば、人々はどのように行動するのでしょうか?法定通貨の価値が落ちていくインフレ下で考えられるのは、法定通貨と違い枚数制限があり、ブロックチェーンによって信用が担保されているビットコインにリスクヘッジ資産としての需要が回ってくる可能性です。
インフレ時に需要が高まる資産として最も有名なのは「金(ゴールド)」でしょう。ゴールドは希少性があり、供給量を増やすことは出来ません。
この面でビットコインとゴールドは類似しており、ビットコインが「デジタルゴールド」と呼ばれる所以です。
ただし、此度のインフレに伴ってビットコイン需要が高まり価格が上昇していくという確証はありません。
ビットコインの投機的な側面は否めず、現在もボラリティが高く不安定な相場です。
しかしながら、インフレが予測される日本において、リスクヘッジとしてのビットコインへの興味・関心が高まる可能性はあります。
日本ではいまだに家計の半分以上を現金・預金が占めています。今後のインフレに伴い人々の意識が変わり、ビットコインをはじめた暗号資産に流れるようなことがあれば、日本国内での暗号資産マーケットの熱はどんどん高まっていくことでしょう。
まとめ
オミクロン株の流行をはじめ様々な要素で現在のビットコイン相場はかなり変動的です。2022年はどんな動きをするのでしょうか。
今後も世界、そして日本のインフレの状況と、暗号資産相場に目が離せません。
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